1991 Fiscal Year Annual Research Report
高感度蛍光分析法による細胞内及び細胞外遺伝子損傷の検出
Project/Area Number |
01044096
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 友恵 岡山大学, 薬学部, 非常勤講部 (80116491)
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90127598)
MORGAN A.R. Dept of Biochenuslry, Univ of alberta, Professor
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Keywords | 蛍光光度分析 / DNAー本鎖切断 / ニトロソアミン / 光 / 活性酸素 / 遺伝子損傷阻害物質 |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたり、まずアルバ-タ大学が所有する高感度蛍光分析による遺伝子損傷測定法のシステムが、岡山大学に設置できるかどうかを検討した。このため綿矢有佑がアルバ-タ大学に行き、分析システムの設計につき、Prof.Morganとともに検討したところ、当研究室の保有する蛍光光度計でもやや能率は落ちるが分析可能であることがわかった。 アルバ-タ大学及び岡山大学において高感度蛍光分析を用いてニトロソアミンと光との共同作用によってDNAの鎖切断が起こる現象について研究した。分析にはゲル電気泳動法を併用した。ニトロソジメチルアミン(NDMA)とニトロソプロリン(NPRO)を含む8種類のニトロソアミンを用いて実験をしたが、すべてのニトロソアミンにDNA一本鎖切断能が見出された。また照射する光は、近紫外光、太陽光、蛍光ランプ、いずれでもよく、光の照射時間が長くなるほど鎖切断が大きくなった。またニトロソアミンの濃度依存性も見られた。とくに興味あることは、従来変異原性も発がん性もないとされているNPROにDNA損傷性が見出されたことである。これらのDNA鎖切断の阻害作用を持つものを調べ、OHラジカル、O^ー_2ラジカル捕捉剤によって阻害が起こることから、これらの活性酸素がDNA鎖切断を起こす原因であることが明らかになった。 ショウジョウバエ幼虫に8ーメトキシソラレンを投与し、近紫外光を照射すると成虫になったとき、羽の毛に変異が誘発された。この時ハエのDNA上にクロスリンクが起こっているかどうかを蛍光法を用いて分析し、クロスリンクは検出限界以下であることを見出した。 アルバ-タ大学以外の各地の資料を集めた結果、多くの新しい遺伝子損傷性物質と、その阻害物質が環境中に存在し、これらの物質の解明をこれから行なう必要があることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Negishi,H.Hayatsu et al.: "The genotoxicities in vivo of N-nitrosamines as assayed in the Wing spot test and the DNA-repair test of Drosophila melanogaster" Mutation Research. 252. 119-128 (1991)
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[Publications] H.Tsuchiyama,H.Hayatsu et al.: "Analysis of 2-amino-N^6-hydroxyadenine-induced mutagenesis in phage Ml3mp2" Mutation Research. 253. 47-54 (1991)
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[Publications] A.Matsuda,H.Hayatsu et al.: "Mutagenicity of (p-nitrophenyl)adenines in Salmonella typhimurium." Mutation Research. 263. 93-100 (1991)
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[Publications] H.Hayatsu,et al.: "Suppression of genotoxicity of carcinogens by (-) epigallocatechin gallate." Preventive Medicine.
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[Publications] H.Hayatsu: "Dietary inhibitors of mutagenesis and carcinogenesis." Chemoprevention of Cancer,eds.by S.V.Bhide and G.B.Maru,Omega Scientific Publications,New Delhi. 40-50 (1992)
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[Publications] T.Aoe,H.Hayatsu et al.: "DNA single-strand breaks induced in vitro by N-nitrosamines with irradiation of near ultraviolet light." Mutation Research.
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[Publications] H.Hayatsu(ed.): "Mutagens in Food:Detection and Prevention" CRC Press,FL, 1-286 (1991)