1991 Fiscal Year Annual Research Report
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01304001
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
森脇 和郎 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (50000229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒泉 満 東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 研究員 (40175360)
原田 正史 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20117964)
松井 正文 京都大学, 教養学部, 助教授 (40101240)
米川 博通 東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 室長 (30142110)
土屋 公幸 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (30155402)
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Keywords | 日本産野生動物 / 種分化 / 遺伝学 / 分子進化 |
Research Abstract |
1.日本産モグラの種分化および類縁関係について、アイソザイム、ミトコンドリアDNAおよびリボソ-ムDNAの遺伝生化学的手法を用いて調査した。その結果、日本のモグラ属はサドモグラ、アズマモグラ、コウベモグラの3つに大きく分かれ、アズマモグラは遺伝的変異が多く、コウベモグラは変異が少ないことが分かった。この結果は前者の渡来時期が古く、後者が比較的最近になって渡来したことを示唆する。サドモグラはアイソザイム多型からは他の2種と極端に離れているが、mtDNAではアズマモグラに、rDANではコウベモグラに含まれるような結果を得た。 2.近交系マウス由来の代表的な6種類のMHCクラスI抗原に対するアロ抗血清を用いてアジア産野生マウスにみられるクラスI抗原を検索したところ、日本を含むアジアの広い地域でk^d,k^f,k^uの3種類の抗原のみが各々20%を越える高い頻度で検出され、その表現型頻度の合計は80%を占めることが分かった。この結果はヨ-ロッパの野生集団において多数の多型遺伝子が低い頻度で分布するのと対照的であった。k^uの分布はcastaneusの分布と、k^fはmusculusの分布と重なっている。これは日本産野生マウスの起源が2つの亜種のハイブリッドであるという見解と一致する。 3.アリ-ルスルファタ-ゼ(Ars)遺伝子、骨片形成に関わるSm50遺伝子、ヒストン遺伝子を用いてバフンウニの地理的変異をDNAのRFLPの観点から調ベた。その結果、何れも著しい多型が認められたが地域差は認められなかった。エゾバフンウニでもそれぞれの遺伝子で多型が認められたが、バフンウニとははっきり異なっていた。 4.メダカの4亜種、ハイナンメダカ、ルソンメダカの間で交配を行い、生殖的隔離の度合を雑種の妊生、性比、アイソザイム遺伝子の分離を指標に調べた。その結果、メダカの亜種間では明かな隔離機構は確立していないこと、ハイナンメダカとルソンメダカの間の隔離が不完全である一方、メダカとこれら2種間では雑種雌の染色体不分離と雄不妊によって遺伝子の交流は起こり得ないことが分かった。これは、染色体腕数の少ないメダカ型から腕数のより多いハイナンメダカ、ルソンメダカ型へ進化したとする考えと一致する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Wada,M.Y.,Imai,H.T.: "On the Pobertosonian polymorphism found in the Japanese raccoon dog(Nyctereutes procyonoides)." Jpn.J.Genet.66. 1-11 (1991)
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[Publications] Matsui,M,Hayashi,T.: "Genetic uniformity in the Japanese giant salamander,Andrias japonicus." Copeia. 1992. (1992)
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[Publications] Harada,M.,Ando,A.,Lin,L.K.: "Karyotypes of the Taiwan vole Microtus kikuchii and the Pere Dadid's vole Eothenomys melanogaster from Taiwan." J.Mamm.Soc.Japan. 16. 41-45 (1991)
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[Publications] Sakaizumi,M.,Shimizu,Y.,Hamaguchi,S.: "Electrophoretic studies of meiotic segregation in inter^ー and intraspecific hybrids among East Asian species of the genus Oryzias." J.Exp.Zool.(1992)
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[Publications] Hamaguchi,S.,Sakaizumi,M.: "Sexually differentiated mechanisms of sterility in interspecific hybrids between Oryzias latipes and O.curvinotus." J.Exp.Zool.(1992)
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[Publications] Sugaya,H.,Tani,S.,Ishigooka,S.,Yoshimura,K.Tsuchiya,K.: "Apodemus Sylvaticus,a new host for Acanthochelonema viteae(Nematoda:Filarioidea)." International J.Parasitol.21. 105-107 (1991)