1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01308012
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒田 英夫 日本大学, 医学部, 教授 (10073066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 昇 京都大学, 医学部, 教授 (10025596)
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
久保田 競 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30027479)
外山 敬介 京都府立医科大学, 教授 (90090505)
伊藤 正男 理化学研究所, 国際フロンティア, グループディレクター (90009887)
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Keywords | 認識 / 記憶 / 脳内メカニズム / 神経生理 / 神経解剖 / 神経心理 / 研究動向 / 研究目標 |
Research Abstract |
外界を認識し、言葉を理解し、物事を記憶するという機能は人間の精神機能の基本的要素であり、抽象的思考能力の基礎である。したがって認識と記憶のメカニズムを解明することは精神機能の科学的理解を目指す脳研究の中心的なテ-マの一つである。最近、神経生理学による脳の情報処理の研究が連合野や大脳辺緑系でも行われるようになって、直接意識にのぼる知覚や認識や記憶と密接に関連したニュ-ロン活動が記録できるようになった。一方、脳の画像診断の進歩により、臨床神経心理学でも認識や記憶の障害と病変部位の対応が正確につけられるようになった。さらにポジトロンCTを使って正常の人間で認識と記憶の機能局在を調べることが可能になった。この様に現在は人間と動物の研究を関連づけて、認識と記憶の脳内メカニズムの解明に本格的に取組む条件が出揃っている。本研究はこの様な状況を踏まえて、この領域の研究の世界的動向と我が国の現状を調査し、これからの研究の具体的な目標と戦略をたてるのが目的である。班員は脳の高次機能を研究している神経生理学者を中心に、神経解剖学者やヒトの認識および記憶の障害を研究している神経心理学者、脳外科医などを集め、さらに認識と記憶の計算論的モデルを研究している情報工学者を加えて組織された。2回にわたる班会議では各班員の報告ばかりでなく、最近話題になっているチンパンジ-の認知機能や新しい記憶理論を研究している心理学者を招いて講演を聞き討論を行った。そして1)認識の基礎になる知覚の神経機構、2)より高次の行動的意味などを含めた連合的認識、3)ヒトで高度に発達している音声と言語の認識、4)意識にのぼる情報の貯蔵と検索にかかわる認知的記憶、5)記憶の基礎となるシナプスの可塑的変化などのメカニズムについてそれぞれ班員が研究の現状と将来の目標をまとめ、主要な研究者のテ-マと論文のリストをつけた報告書を作成した。
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