1991 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の弱視・斜視における両眼視機能異常の治療に関する研究
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01440073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
粟屋 忍 名古屋大学, 医学部, 教授 (00023755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 欣一 名古屋大学, 医学部, 助手 (70197739)
矢ケ崎 悌司 名古屋大学, 医学部, 助手 (50191078)
唐木 剛 名古屋大学, 医学部, 講師 (90224708)
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Keywords | 両眼視機能 / 立体視 / static randomーdot pattern / dynamic randomーdot pattern / monocular cue / 感受性期間 |
Research Abstract |
両眼視機能のうち最も高度な機能である立体視は生後3〜4カ月頃より芽生え、次第に発達し、3歳の終り頃には100Sec.of arcより良好なレベルに到達する。立体視の正常な発達のためには(1)各眼の視力差が余り大きくないこと、(2)各眼の網膜像の大きさの差(不等像視)が著明でないこと、(3)各眼の網膜の中心窩が同時に同一視物に向っていること、すなわち顕性斜視がないこと、(4)後頭葉の視覚領野における両眼視細胞が発達すること、が必要である。これらの4条件のうち、いずれが欠けても立体視は正常な発育を示さない。しかもその成立には感受性期間が存在し、ほぼ1歳6か月位と考えられている。これはこの時期以前に発症した斜視は治療によって立体視の回復がほとんど得られないことが、2歳以後に発症した斜視と全く異なることからも分かる。 我々は前述の4条件の解析に関する研究を続けて来たが、最も複雑な立体視の脳内成立機構の一端を知るために、立体視覚誘発脳波による解析を試みた。すなわち、dynamic randomーdot patternにより、VEPを記録すると、有意の波型は被検者の約30%に得られるのみであり、かつ再現性にも間題が残った。これに対し、static randomーdot patternでは80%以上に立体視VEPが記録された。後者では、monocular cueの介在も否定し得ないので、今後さらに、dynamic random dotによる記録条件の検討を重ね、立体視の生理に対する解析が必要であるが、これは非常に困難な大問題である。 本研究課題である両眼視機能異常の治療に関する取組みについては、前述の4条件中の3条件に関して種々の知見が得られたと思われる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shinobu Awaya: "Amblyopia:Update Concept, Classification and Diagnosis" Presented at the 1991 Annual Congress of Spanish Strabismological Society Submitted to Journal of Spanish Strab. Society. (1991)
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[Publications] Shinobu Awaya,Toshimasa Tanaka,Yoshie Ozeki and Shigetaka Yamamoto: "Measurement of Cyclodeviation by the New Cyclo Tests." Transactions of XII AsiaーPacific Academy of Ophthalmology. (1991)
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[Publications] Shinobu Awaya,Teiji Yagasaki,Miho Sato and Takeshi Karaki: "Measurement of Cyclodeviation in the Diagnostic Positions of Gaze." Presented at the 18th Annual Meeting of the American Assoc. for Pediatric Ophthalmology and Strabismus. (1992)
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[Publications] 矢ケ崎 悌司,粟屋 忍,高士 敦子,平井 淑江: "先天白内障術後症例の視機能の検討" 眼科臨床医報. 85. 195-202 (1991)
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[Publications] 田中 浩人,粟屋 忍,林 博文: "先天性無虹彩症の両眼視機能について" あたらしい眼科. 8. 463-466 (1991)
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[Publications] 中村 富雄,粟屋 忍,三宅 三平: "AーV型斜視における水平筋附着部異常及び斜掛機能異常について" 日本眼科学会雑誌. 95. 698-679 (1991)
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[Publications] 粟屋 忍(分担)(稲富 昭太,宇山 昌延,所 敬,井村 裕夫,編): "眼の病変 各科臨床医のために 「弱視」" 金芳堂, 337 (1991)
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[Publications] 粟屋 忍(分担)(増田 寛次郎,本田 孔士編): "眼科治療クイックガイド 「小児眼科疾患」" 医学書院, 470 (1991)