1989 Fiscal Year Annual Research Report
筋弛緩のセルフコントロ-ルの機制に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
01450012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原野 広太郎 筑波大学, 心理学系, 教授 (40015425)
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Keywords | 筋弛緩 / セルフコントロ-ル / 筋電図 / 意図的関与 / 運動コントロ-ル |
Research Abstract |
(1)健常成人被験者を用いて、片腕を斜め上にあげ、肩の緊張はそのままに、ひじのみの弛緩のコントロ-ルがどのようにできるかをひじの筋から誘導されるEMC(筋電図)を用いて、実験した。その結果、実験前にひじの筋弛緩がどんなにできても、片腕を斜めに上にあげた姿勢では、ひじの弛緩のセルフコントロ-ルは全被験者ができなかった。従って、ひじの筋から誘導したEMCにほとんど変化が見られなかったことから、負荷(腕あげ)によってセルフコントロ-ルの力が失われることが実証された。 (2)同じ被験者を用いて、ひじの筋弛緩訓練を10回くり返し、その後ひじの筋弛緩時のEMCを誘導した。その結果肩の筋緊張は変化しないが、ひじの特定の筋が弛緩し、訓練によってセルフコントロ-ルができることが分かった。更に、ひじの筋弛緩訓練を行った被験者に、片腕を斜め上にあげさせ、被験者が意図的に上げた腕の手でコブシをつくる(手を握りしめる)よう教示し、その直後にひじ弛緩を行わせた。しかるに、全被験者がひじ弛緩ができなくなった。これらの被験者は腕を下げているときは自由にコブシをつくり、同時にひじを弛緩させることができた。この事実は筋弛緩のセルフコントロ-ルが可能であっても、その筋の神経支配が関連する他の筋の部位に負荷がかかると前者の筋のセルフコントロ-ルの力が失われることを示している。 (3)全被験者に(1)、(2)の実験直後に内省報告を求めた。その結果次の点が明らかになった。何らかの弛緩訓練を受けないと片腕を斜め上にあげるのみで、それまで可能であったひじ弛緩のセルフコントロ-ルの力はまったく発揮できず、意図的関与ができなくなる。このことは弛緩訓練の後に腕を斜めに上げ、コブシを作っても同じように、セルフコントロ-ルの力が失われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 生月誠,原野広太郎,山口正二: "運動反応を用いた拮抗制止法の効果についての研究" 行動療法研究. 15. 56-61 (1989)
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[Publications] 原野広太郎,生月誠: "筋弛緩のセルフコントロ-ルの研究(1)" 行動療法研究. 16. (1990)
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[Publications] 原野広太郎: "筋弛緩のセルフコントロ-ルに及ぼすモデリングの効果" バイオフィ-ドバック研究. 17. (1990)