1989 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の経済成長および景気循環をめぐる理論的・実証的研究
Project/Area Number |
01450081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 経夫 東京大学, 経済学部, 教授 (90107483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 清彦 東京大学, 経済学部, 助教授 (70164580)
植田 和男 東京大学, 経済学部, 助教授 (90151787)
吉川 洋 東京大学, 経済学部, 助教授 (30158414)
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Keywords | 日本経済 / 戦前の景気循環 / 戦後の景気循環 / 経常収支 / 財政収支 / 日本の労働市場 / キャピタル・ゲイン / 価格硬直性 |
Research Abstract |
1.日本の景気循環プロセスの実証研究として、実体経済の循環プロセスにおける貨幣数量の役割と戦前・戦後の日本の景気循環の比較する2つの研究を行った。 2.日本の成長・景気循環の国際経済的側面についての研究としては、中長期的な経済変動・経済成長と経常収支との関係について調べるために、19世紀から20世紀初めにかけての英国や米国、第2次大戦までの日本、1970年代から80年代にかけての非産油発展途上国を中心とする経常収支・資本収支の動きについてデ-タ分析を行った。大幅な経常収支の不均衡はおもに軍事費の増減による財政収支の変動か、各国間の投資収益率の大幅な相違によって発生している。特に後者は長期的な不均衡の原因となりやすいということが分った。 3.日本経済の労働市場、資産市場の分析として、第1に、戦後の景気変動過程における新規労働市場の賃金プレミアムのデ-タ分析から、通説に反し、同市場が必ずしも競争的であったといえないことを示し、ケインズ的労働市場仮説の妥当性を主張した。第2に、資産市場のキャピタル・ゲインの規模をめぐる日本・英国・米国のデ-タ比較研究を行うとともに、所得・富の分配へ及ぼす効果の理論的分析を行った。 4.市場の価格調整をめぐる理論的研究として、不完全競争と不完全情報の相互作用からケインズ経済学のパズルとされてきた価格の硬直性が経済主体の最適化行動と整合的に導出される可能性があることを指摘し、その説明のもっともらしさをシミュレ-ションで確認した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 吉川洋: "「マネ-・サプライと実体経済」" 東京大学『経済学論集』. 55. 31-57 (1989)
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[Publications] 吉川洋: "「戦前日本経済のマクロ分析」" 東大産経研・コンファランス「歴史的視点からみた経済理論の再検討」提出論文. (1990)
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[Publications] 西村清彦: "“Indexation and Monopolistic Competition in Labor Markets"" European Economic Review. 33. 1605-1623 (1989)
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[Publications] 西村清彦: "“Customer Markets and Price Sensitivity"" Economica. 56. 187-198 (1989)
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[Publications] 西村清彦: "「マクロ経済学のミクロ基礎・不完全情報モデル」" 大蔵省財政金融研究所『フィナンシャルレビュ-』. 13. 52-77 (1989)
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[Publications] 石川経夫: "労働市場における割当てと年功賃金" 1990年7月米国NBER,Summer Institute報告論文.
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[Publications] 西村清彦(共著): "『応用ミクロ経済分析』(西村和雄・伊藤元重編)(論文「マクロ経済学:不完全競争分析」)" 東大出版会, 301 (1989)
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[Publications] 植田和男(共著): "『経済学の歴史的パ-スペクティブ』(論文「経常収支の長期変動:歴史的パ-スペクティブ」)" 東大出版会, (1990)
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[Publications] 石川経夫: "「所得と富」(第1章第3節 日本の富)および(第7章第2節 資産価格の変動と情報力の分配)" 岩波書店, (1990)