1989 Fiscal Year Annual Research Report
集合体素子としてのレシチン類縁金属錯体の設計合成と機能解析
Project/Area Number |
01470100
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉川 貞雄 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70010759)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山内 州一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70051828)
|
Keywords | ベシクル / ラメラ / 分子集合体 / 光学活性 / 複鎖型両親媒化合物 / レシチン類縁体 |
Research Abstract |
1.緒言 複数の疎水基を有する両親媒化合物が二分子膜生成に適している理由で注目を集めている。これらは容易にベシクルやリポソ-ムを形成し得る。著者らはレシチン構造を分子せ設計の指針とし、Fig.1の構造式に示す様な両親媒化合物の合成を試み、その水溶液における集合挙動(リポソ-ムの形成)や相転移を検討した。2.実験 リポソ-ムおよびラメラの形成はネガティブ染色を行った後、透過型電子顕微鏡による観察にて確認した。相転移現象は示差熱分析計(DSC)により、相転移に基づく吸発熱ピ-クの出現により確認した。3.結果および考察 試料水溶液をボルテックスミキサ-を用いて溶解し、ついで超音波照射する事により、容易にリポソ-ムを形成した。集合体にはユニラメラベシクル、マルチラメラベシクル、板状、ひも状集合体などが確認されたが、Fig1におけるβ位の不斉炭素のキラリティに注目した場合、ラセミ体に比較して光学活性体(S型)はマルチラメラベシグルを形成しやすい事が観察された。DSCによる相転移の検討では次の様な結果が得られた。リポソ-ムを含有する水溶液を充分に冷却し、溶媒である水を凍らせた場合とそうでない場合とではTc(ゲルー液晶相転移温度)に変化が認められた。アシル基がミリストイル基の場合を例にすると、前者では63.7℃(ラセミ体)、後者は22.3℃(同左)にTcを発現した。冷却温度により異種の相が存在する事を物語っている。β位の立体異性に注目すると光学活性体の方が相当するラセミ体より約7℃高いTeを示した。二本の長鎖アシル基が整然と並んだ場合、両者における親水基の配列規則性の相違が原因と考えられる。
|