1990 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原細菌の銅抵抗性に関する分子遺伝学的並びに生化学的研究
Project/Area Number |
01480051
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
後藤 正夫 静岡大学, 農学部, 教授 (30022049)
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Keywords | 植物病原細菌 / 銅抵抗性 / プラスミド / 銅水和剤 / キウイかいよう病菌 / イネもみ枯細菌病菌 / 硫酸銅 |
Research Abstract |
植物病原細菌の中には、rRNAII群のPseudomonas属細菌を中心に、11種で高い銅抵抗性を持つ細菌の存在が明らかになった。特にイネもみ枯細菌病菌とキウイかいよう病菌銅抵抗性はプラスミド支配であることが明らかになった。両細菌は硫酸銅と銅水和剤に対する抵抗性を異にしており、他の多くの細菌と異った特徴を示した。アメリカで明らかにされたトウガラシ斑点細菌病菌及びトマト斑葉細菌病菌の銅抵抗性にはこのような特徴がみられなかったことから、プラスミド支配によるものとは断定できない。銅化合物の形態によって感受性が異なるためか、ジャガイモ・ブドウ糖寒天培地を基礎培地とした培養条件における代謝活性の差による銅のイオン化の相違による可能性が考えられた。また硫酸銅および銅水和剤感受性の相関性について、Zーボルド-とコサイドボルド-ではパタ-ンに違いがみられた。すなわち後者では、硫酸銅抵抗性の高い数種の細菌の最小発育阻止濃度が500倍以上で、著しく抵抗性が高いことが明らかになった。カンキツ軸腐病菌ではZーボルド-に含まれる2種の塩類(塩化マグネシュウムおよび塩化亜鉛)によってpHが上昇し、Cu^<2+>の遊離が抑制されるために、効果が抵下するといわれている。本研究でZボルド-をジャガイモ・ブドウ糖液体培地に混合して調べた結果では、pHは試験した濃度に関係なく、6〜7で大きな変動はなかった。このため高濃度域における効果の抵下には、pH以外の要因が関与しているものと考えられた。
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