1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480071
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金光 桂二 名古屋大学, 農学部, 教授 (10012064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 敏夫 北海道大学, 農学部, 名誉教授 (60001377)
肘井 直樹 名古屋大学, 農学部, 助手 (80202274)
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Keywords | 養菌性キクイムシ / 昆虫共生菌 / アンブロシア菌 / 共生菌貯蔵器官 / モニリオイド結合 |
Research Abstract |
愛知県稲武町にある名古屋大学稲武演習林内で、シロモジ(クスノキ科)材の中へ食入したミカドキクイムシ(Scolytoplatypus mikado)と、クスノオオキクイムシ(Xyteborus mutilatus)の2種の養菌性キクイムシを中心にして調査を行った。 両種の野外における生活史がほぼ明らかになった。それによると、ミカドキクイは年2世代、クスノオオキクイは年1世代を経過するが、両種とも成虫態で材木内で越冬した。 5月から10月までの繁殖期間中に、ほぼ1ヶ月間隔でシロモジ丸太を林内に設置し、キクイムシの食入が確認されたものについて、孔道内の内壁に生育している菌類を採取して、寒天培地上で培養しながらカビの分離を行った。これと並行して、それぞれの時期に成虫を採集して、その体内外にある共生菌胞子貯蔵器官を詳しく観察し、その中の胞子を取り出して寒天培地上に移し、上記と同じ手続きを経て、菌を1種類ずつに分離した。 2種の養菌性キクイムシについて、最も主要な共生菌として得られたものは、Ambrosiella属の不完全菌であることが判明した。走査型電子顕微鏡下では、その特徴であるモニリオイド結合がしばしば観察された。このほかに、複数種の酵母(Yeast)がキクイムシと共生関係にあることが確認された。これらの酵母の中の1種はCandida属のものと判明したが、他のものについては未同定である。以上のほかにさらに、別のグル-プの不完全菌と思われる糸状菌が複数種分離され、これらの微生物が複合体となってキクイムシと共生関係にあると報告した1985年のNorrisらの論文を裏付けるような結論となった。しかしこの事実は、来年さ来年も観察をくりかえして再確認する必要があると考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kinuura,H.and Kanamitsu,K.: "Scolytidae and their host trees in central Japan.(Abstract in poster presentation)" Proceedings 18th International Congress of Entomology,Vancouver,Canada,1989.440 (1989)
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[Publications] 梶村恒,肘井直樹,金光桂二: "クスノオオキクイムシ(Xyleborus mutilatus)の共生菌" 第38回日本林学会中部支部大会論文集. 38. 153-156 (1990)
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[Publications] 衣浦晴生,肘井直樹,金光桂二: "ミカドキクイムシ(Scolytoplatypus mikado)の共生菌" 第38回日本林学会中部支部大会論文集. 38. 157-160 (1990)
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[Publications] Kajimura,H.Hijii,N.and Kanamitsu,K.: "Ambrosia fungi of Xyleborus mutilatus(Col.Scolytidae)and their seasonal occurrence in Japan." 19th IUFRO World Congress,Montreal,Canada,August 1990.
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[Publications] Kinuura,H.Hijii,N.and Kanamitsu,K.: "Ambrosia beetles and their symbiotically related fungi in Japan." 5th International Congress of Ecology,Yokohama,Japan,August 1990.
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[Publications] Kinuura,H.Hijii,N.and Kanamitsu,K.: "Life history of Scolytoplatypus mikabo(Col.Scolytidae)with reference to symbiotic Ambrosiella fungus." Japanese Journal of Entomology.