1989 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱環境下における雄豚の管理技術、特に局所冷却による造精機能を低下防止に関する研究
Project/Area Number |
01480098
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
吉本 正 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70009546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 創 麻布大学, 獣医学部, 助手 (20197528)
田中 智夫 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (40130893)
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Keywords | 暑熱環境 / 雄豚の管理 / サマ-ステリリティ / ドリップリング / サ-モグラフィ / 局所冷却法 / 皮膚温度 / 豚の生理反応 |
Research Abstract |
研究者らは1985年以来、暑熱環境における雄豚のサマ-ステリリティについて検討を行ない、30〜35℃の環境温度において3〜6週間飼養すると、明らかに造精機能が低下することを認めた。そこで、本年度は、これを防止するために、暑熱期に、豚の首〜肩部の局所冷却(ドリップク-リング)を行ない、その効果を生理反応、サ-モグラフィ-による皮膚分布の面から調査し雄豚における管理技術の改善策を検討した。 8〜9カ月の大ヨ-クシャ-種6頭を対照区と局所冷却区に3頭ずつ配置し、6週間、普通豚舎で実験を行なった。最初の2週間は、両区とも自熱温の状態で管理し、平常時における諸調査を行なった。次の4週間は加温期として豚房(スト-ル飼育)に赤外線電熱器を5個つるし、環境温度は、常時29〜31℃を保つようにした。対照区は終始、この環境で飼育し、局所冷却区に1頭ずつ首〜肩部に水滴を滴下させ(11分ごとに1分間)、その気化熱によって豚体からの熱放散を試みた。 その結果は次のようであった。 心拍数(回/分):対照区は自然温期64に対し加温期は67〜73を示した。局所冷却区は自然温期69に対し加温期は69〜75を示した。 呼吸数(回/分):対照区は自然温期18に対し加温期は51〜68と有意(P〈0.01)に増加していたが、局所冷却区は自然温期32に対し、加温期は33〜45と安定していた。 直腸温(℃):対照区、局所冷却区ともに両期を通して38.5〜38.7であり、変化は認められなかった。 皮膚温(℃)サ-モグラフィ-を用いて両区の豚の体表面温(精巣部を含む)を測定した結果、どの部位においても、局所冷却区が対応区より2〜3℃低かった。 以上から、局所冷却法は、呼吸数、皮膚温を安定させ、生理反応の面からは防衛効果が認められた。
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