1989 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザウイルスの出現予測と流行防止に関する研究
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01480103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10109506)
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Keywords | インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / 新型出現 / 疫学 / 予測 / ブタ / カモ / 遺伝子再集合 |
Research Abstract |
新型インフルエンザウイルスの出現機構に関する我々の仮説を実証し、さらに、今後出現し得る新型ウィルスの抗原亜型の予測に資するため、ウイルス遺伝子を詳細に解析するとともに、豚を用いて感染実験を実施し、次の成績を得た。 1.中国南部で家鴨から分離されたH3インフルエンザウイルス4株のヘマグルチニン(HA)遺伝子の塩基配列をほぼ決定した。いずれも野性の鴨、豚および1968年の人のホンコンウイルスと高い相同率を示した。この成績はA/ホンコン/68のHA遺伝子が中国南部で、野性の鴨から家鴨および豚を介して、人のウィルスに導入されたとする我々の仮説を強く支持する。 豚を用いた感染実験により、次の成績を得た。 2.豚の呼吸器は豚および人のインフルエンザウイルスのみならず、鴨および家鴨のH3ウイルスHAにも感受性がある。 3.豚の呼吸器は鴨のウイルスと豚のウイルスの遺伝子再集合体を産生する。 4.家鴨由来H4、H5、H6およびH7ウイルスの多くの株が豚の呼吸器で増殖する。 5.家鴨由来インフルエンザウイルスに感染し、鼻汁中にウイルスを排泄した豚に血中HI抗体が検出されなかったが、ELISAによって明らかな抗体応答が認められた。 6.5.の成績から、豚の血清疫学調査のために、ELISAの系を検討し、確立した。
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[Publications] Kida,H.,Webster,R.G.,Kawaoka,Y.,Shortridge,K.F.,Naeve,C.W.,Ito,T.,Itakura,C.,Mori,F.& Shimizu,Y.: "Origin of the hemagglutinin gene of A/Hong Kong/68(H3N2)influenza virus.In:Current Topics in Medical Virology(Ed.by Chan,Y.C.,Doraisingham,S.& Ling,A.E.),pp 365-376." World Scientific,Singapore/New Jersey/London, 444 (1989)