1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480315
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
加藤 逸夫 徳島大学, 医学部附属病院, 教授 (60035409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 三郎 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (40145024)
名取 靖郎 徳島大学, 医学部, 教授 (30035381)
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Keywords | リンパ浮腫 / リンパ球動注 / 新鮮リンパ球 / 培養リンパ球 / 二次元電気泳動法 / 蛋白分解 |
Research Abstract |
上肢のリンパ浮腫に対する自家リンパ球動注が、他の保存的療法を併用しないときには、浮腫減退効果の持続期間は数週間と短いが、動注の度に確実に、再現性をもって著効の認められる症例において、培養自家リンパ球を用いて、本法の作用機序の解明についての研究をすすめた。自家静脈血20mlを採血し、単核球を遠心分離し、抗CD3抗体の存在下にインタ-ロイキン2を加えて3〜4週間培養した。100倍以上に増殖した細胞は、90%以上がCD3およびCD2陽性で、Leu-lla陽性のものは5%以下であった。この細胞すなわちTリンパ球4×10^3箇を動注したところ、新鮮自家リンパ球浮遊液と変らない著明な浮腫減退効果を認めた。また、遠心分離した単心3×10^8箇を単独で動注した際には、自効性は認め難く、浮腫減退に有効に作用するのはTリンパ球であることが明かとなった。この培養リンパ球をさらに多くして1.2×10^9箇動注したところ、効果はいっそう著明で、持続期間も長かったが、サイトカイン大量投与時にみられるような一過性の副作用を認め、注入リンパ球数は4×10^8箇以下にすべきであると思われた。 この症例において、培養リンパ球動注後に経時的に浮腫液を採取して、蛋白組成を二次元電気泳動法で調べたところ、動注前の浮腫液中や、注入したリンパ球浮遊液、血清中には存在しなかった新しいスポットが、注入5分後に出現し、浮腫が減退しつつある注入5時間後には消退していくのが観察された。この新しいスポットの蛋白は、分子量約20000でアルブミン由来ではないと推察された。このスポット出現は、浮腫液とリンパ球浮遊液を混じたin vitroの系でも同様に観察され、リンパ球注入により浮腫液中に蛋白分解が生じていることが明かとなった。この新しいスポットの蛋白の同定を試みている。さらに、培養リンパ球を凍結保存したものの有効性についての検討を行なっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Itsuo Katoh et al.: "Intraarterial lymphocyte injection therapy of lymphedema of the extremities" The proceeding of the 12th international congress of lymphology(1989 Tokyo).
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[Publications] 加藤逸夫 他: "慢性リンパ浮腫に対するリンパ球動注療法の研究" 病態生理.
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[Publications] 加藤逸夫: "私の治療法ーー下肢腫脹" 臨床科学.