1990 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるラミニン・コラ-ゲン(VI)の免疫組織学的研究(特に転移との関係)
Project/Area Number |
01480336
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松田 泰次 近畿大学, 医学部, 講師 (10122110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 隆一 近畿大学, 医学部, 助手 (70225192)
坂口 隆啓 近畿大学, 医学部, 講師 (40196069)
波江野 善昭 近畿大学, 医学部, 助手 (80180793)
安富 正幸 近畿大学, 医学部, 教授 (60028438)
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Keywords | 肝転移 / ラミニン(LN) / 基底膜 / typeIV collagen (CIV) / バリア- / 接着能 / YIGSR / イムノブロッティング法 |
Research Abstract |
胃癌・大腸癌におけるlaminin(LN)の免疫組織学的検討を行い、肝転移例ほどLN陽性例が多いことから、LNが肝転移に必要な成分であると推測し報告した。組織型との関係では、分化度の高い癌ほどLN陽性例を多く認めた。胃癌組織では、低分化でも我々の分類した充実胞巣型ではLN陽性率が高く、肝転移も高率であることを示した。さらに癌基底膜構成成分であるLN、type IV collagen(CIV)の局在を検討した。大腸癌原発巣のLN陽性率は42.7%(82/192)、肝転移症例の原発巣のLN陽性率は83.1%(59/71)で肝転移のない症例の陽性率は18.8%(21/112)に比べ有意に高率であった。肝転移巣は94.1%(16/17)と高率であった。同様にCIVでも原発巣の陽性率は18.7%、また肝転移症例の原発巣のCIV陽性率は83.3%(25/30)で肝転移のない症例の陽性率5.0%に比べ有意に高率であった。肝転移巣も94.1%(16/17)と高率であった。肝転移例では表層、中間層、深層さらに癌最深部でもLN、CINは陽性であった。以上のことより分化型腺癌では、癌細胞の浸潤、肝転移の過程においては基底膜の破壊は必ずしも必要ではなく、基底膜を温存し壁内を進展する。つまりLNやCIVは壁内進展の基質的なバリア-というより、癌に付随する機能的な物質であると考えられた。現在、癌の産生するLN、CIVについて、実験動物を用いて培養細胞を移植した腫瘍(ヒト腺癌由来のKUM LKー2・KUM・LKー17・Lewis肺癌細胞、colon26細胞およびVX2細胞)におけるLNの局在に関する免疫組織学的染色を行ない高転移株と低転移株,あるいは原発巣と肝転移巣におけるLNの局在性について比較検討し,さらにこの肝転移モデルを用いてLNのコア配列を持つYIGSRの転移抑制効果および病理組織学的研究を行ない、さらにヒト腫瘍細胞をもちいて、イムノブロッティング法および免疫組織学的染色によりLN、CIVの産生を検討するとともに、転移・接着能との関係について検討中である。
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[Publications] 久保 隆一: "Lamininの免疫組織化学による大腸癌の静脈侵襲判定と肝転移" 日本大腸肛門病学会雑誌. 43. 172-174 (1990)
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[Publications] 久保 隆一: "Lamininの免疫組織化学の静脈染色への応用と癌の静脈侵襲判定における意義" 近畿大学医学雑誌. 15. 259-270 (1990)
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[Publications] 松田 泰次: "大腸癌基底膜におけるtype VI collagenの免疫組織学的研究" 近畿大学医学雑誌. (1991)
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[Publications] 松田 泰次: "大腸癌肝転移の防止対策" 臨床雑誌「外科」. 51. 903-914 (1989)
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[Publications] 松田 泰次: "大腸癌" 癌と化学療法. 17. 22-30 (1990)