1989 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用インプラント金属材料と共存するクラウン・ブリッジ用合金の腐食
Project/Area Number |
01480456
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中山 正彦 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (90095068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 進夫 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (00095051)
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Keywords | インプラント用金属 / 純チタン / クラウン・ブリッジ用合金 / 腐食電位 / 腐食電流 / 上部構造用合金 / 不動態化 |
Research Abstract |
金属インプラントを口腔内に適用した場合に、上部構造としてセメント合着するクラウン・ブリッジ用合金として何を用いるべきかを決定する事が本研究の目的である。電気化学的腐食挙動を調べる通常のポテンショスタット回路のほか、インプラント用金属を一方の極とし、上部構造用合金を他極として電圧・電流を直接測定する回路を試作した。 インプラント材としては、純チタンを用いた。上部構造用としては、ADASTypeIII金合金、金銀パラジウム合金、コバルト・クロム合金、ニッケル・クロム合金、銀・インジウム合金を選んだ。試験液には、リンゲル液を用いた。合金は樹脂包埋して、電極をとり付けやすくした。 まず、カルメロ電極に対する腐食電位を見ると、純チタンは意外に低く(電気化学的に卑)、次いで、ニッゲル・クロム合金、コバルト・クロム合金、銀・インジウム合金、金銀パラジウム合金、TypeIII金合金と順次高くなっていった。分極曲線から見ると、不動態化時、あるいはゆるやかな反応ピ-クの頂点の電流密度は、純チタンは非常に小さく、コバルト・クロム合金、ニッケル・クロム合金がこれに続き、金合金、金銀パラジウム合金ではもう少し大きかった。 純チタンを陽極側にして、陰極側に他の合金を置いて自然に流れる電流を測定してみると、試験液の状態などの試験条件によって電流は大きく変動し、時には電流の向きが逆になった。コバルト・クロム合金は相対電位が小さく電流も少いので、上部構造用合金として好ましく思われるが、一旦不動態皮膜に傷がつくと、回復に時間がかかり、それまでに電流も電位差も大きく変動した。TypeIII金合金、金銀プラジウムの合金は純チタンに対して大きな電位差を示すものの、電流は安定しており、上部構造用合金として適当と思われる。しかし、種々の測定条件の影響を受けやすく、さらに実験を継続してこの結果を確かめる必要がある。
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