1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 精一郎 大阪大学, 教養部, 教授 (40029616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COSTIGAN Edw 大阪大学, 言語文化部, 外国人教師
桑野 園子 大阪大学, 教養部, 助教授 (00030015)
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Keywords | 非母国語の聴取能力 / 文章了解度 / 留学生 / 騒音の影響 / バブルノイズ |
Research Abstract |
前年度までに実施した実験結果の分析をさらに進め,留学生と日本人学生の文章了章の過程について次のようなことが推察された。(1)文章中に既知でない単語が含まれたり,発音が不明瞭,あるいは騒音下など,聴取条件が悪い場合,文章の逐次的理解(処理)は困難となり,不明な箇所の前後関係,すなわち文脈から不明な箇所を推定する作業が行われる。(2)この文脈の利用には,その言語に対する知識量が貢献する。知識量が豊富なほど文脈の利用は容易となる。言語が未知の場合,音声は全く音響学的刺激にすぎず,音響学的手がかりのみによって,単語の同定をせねばならず,きわめて困難な作業となる。(3)留学生はかなり高度な日本語の能力を保持しているが,日本語の聴取条件が悪い場合,nativeと比較して上記(2)の困難を生じるようである。(4)文章を了解する上に重要な単語(キ-ワ-ド)が認知されていると,留学生の場合も文章の了解は容易となる。 これらの結果に基づいて,留学生を対象に講義を行う際の留意点として次のようなことが示唆された。(1)視聴覚教材を活用し,耳のみならず目からの情報によって理解を助ける。(2)少なくとも,キ-ワ-ドは必ず板書する。(3)ゆっくり明瞭に話す。(4)大切な部分は反復する。(5)やさしい文章構造を用い,また付加情報を与えることで,文脈からの推定が容易になるようにする。(6)バブルノイズが重畳すると留学生の場合,聴取能力が急激に低下するので,バブルノイズの典型である教室における学生の私語を禁止する。 なお,他国での実験に関しては,1992年9月には,ドイツSchick教授が来日の予定であり,また,9月に北京で開催させる国際音響学会議には各国の共同研究者が集まるので,その機会に会合を持ち,討論する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Namba: "Loudness and timbre of nonーsteady state noise." International Congress on Acoustics(Plenary lecture). (1992)
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[Publications] S.Namba,S.Kuwano et al.: "The definition of loudness,noisiness and annoyance in laboratory situations." International Congress on Acoustics(Invited lecture). (1992)
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[Publications] S.Kuwano and S.Namba: "Longーterm evaluation of noise in laboratory situations." International Congress on Acoustics(Invited lecture). (1992)
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[Publications] S.Namba,S.Kuwano,E.Costigan,et al.: "A study of communication gap between and nonーnative speakers." Symposium of Grant Agreement between JapanーUnited States Friendship Commission. (1992)
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[Publications] 桑野 園子,難波 精一郎: "異なる国における音の印象を表現する言葉の比較" 日本心理学会論文集. 725 (1991)
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[Publications] 桑野 園子,難波 精一郎,他3名: "騒音の音色についてー各研究室の比較ー" 日本音響学会講演論文集. (1992)