1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510204
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高牧 實 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20100985)
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Keywords | 東北地方 / 近世都市 / 神社祭祀 / 頭屋(当屋) |
Research Abstract |
平成元年度における調査によって数多くの貴重な史料を蒐集することができた。なお、ひきつづいて調査を行ない、蒐集した史料の整理と研究を行なう予定であり、まだ、細部にわたる検討を行なっていないが、今後の調査を行なうための目安として平成元年度における調査のなかで考えた問題点をあげておきたい。 東北地方における都市の成立と領主の都市支配の如何に深くかかわる問題が、都市における主要な神社の祭祀の方法とその組織が如何なるものであったかということのなかに見出すことができる、という見通しを得た。すなわち、中世末から日本海沿岸の枢要な港町として発展した町、そのような町と町人が取り込まれた城下町と、そのような町と町人とが取り込まれていない、主として内陸部や太平洋沿岸の城下町とでは、神社の祭祀の方法とその組織とが異なっており、神社の祭祀が、前者においては町人の主導のもとで、後者においては領主の主導のもとで営まれ、前者においては町人の間で差定される頭家(当屋)が、後者においては領主側から差定される頭家(当屋)が、それぞれ神社の祭祀の経営に一定の役割を担っていた、と考えられるのである。 このような問題点を、平成2年度における調査によって確認できるかどうか、調査する場所に留意して計画を立てているが、なお、若狭・越前に至る日本海沿岸、さらには、関東・東海地方、近畿地方以西の諸地方における都市についても調査し、全国的な視点から検討をしなければならない。
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