1989 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアの極東進出と日本-シベリア鉄道の建設をめぐって
Project/Area Number |
01510231
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
廣瀬 健夫 信州大学, 人文学部, 文部教官教授 (10020538)
|
Keywords | ロシアの極東進出 / シベリア鉄道 / 日露戦争 / エス・ユ-・ヴィッテ |
Research Abstract |
平成元年度には、この課題のなかでとくに日露戦争前のロシアの極東政策を研究した。そのさい、科研費で購入したロシア語の史料は大いに有用で、ロシア側の日本への対応についていくつかの新たな知見をえた。その一つは、ベゾブラ-ゾフ、クロパトキン、ヴィッテの極東視察報告で、これらの比較検討がロシア政府内部での対日政策決定過程の研究に重要であるということができる。また、日露の対立点である朝鮮をめぐる問題で、ロシアが朝鮮をどうみていたのかという点をもっと明らかにしておかねばならないのだが、この点は現在のところ全く手についていない。さらに、これは技術的なことだが、この時期のロシアの機関車の性能、能力や寒冷期での給水問題、燃料問題などももう少し明らかにしたい点である。これは実際にシベリアに行き、ソ連の鉄道当局から話をきいたり、現地視察などしなければ実体は明らかになりにくいので、出来れば、来年度にシベリアへ行ってみたいと思っているが、科研費で行くことが出来るといいのだが。 つぎに日本側の対応の点だが、山県など軍首脳、伊藤博文など政府首脳のロシア観、シベリア鉄道建設への対応を検討しているが、これには科研費による書物購入が有用であった。山県らによる「軍備意見書」の逐年的な検討に加えて、山県以外の軍関係者、海軍側の動向も研究していきたい。しかし、この点はまだ研究は進展していない。 本年度はこれまで進展していない部分の研究と新たな論点の展開による史料の入手によって研究を進めていきたいと考えている。
|
Research Products
(1 results)