1991 Fiscal Year Annual Research Report
中国語学史の総合的研究ー言語観・研究活動の展開を軸としてー
Project/Area Number |
01510268
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 正二 北海道大学, 文学部, 教授 (20000599)
|
Keywords | 中国語学史 / 中国人の言語観 / 中国人の言語研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、先秦時代より清朝末期に至る間の、中国人著述・研究者による自国語(the Chinese language)についての撰著等を整理・考察し、そこに反映する彼等の思索・言語観および研究活動の展開を明らかにし、終極的には学術史としての中国語学史を構築することにある。本研究代者表は所期の目的を達成するために、平成元年度、2年度には本研究に利用し得る各種資料を捜索収集し、それ等の整理・カ-ド化等を行ったが、本年度も前年度までの捜索収集で漏れたところ、不足なところを補充しつつ資料の全体的整理を行い、関係文献目録を作成し、これまでに得られた知見・成果の上に立って全体的な見取図を描き、中国語学史の全体的特徴を抽出し研究成果の発表の準備を行うことを研究実施計画とした。その結果、調査が及ばなかった文献資料も尚有る恐れは残るが、周秦時代から清朝末期に至る間の中国語学史関係文献の内、中国人の言語観・研究活動の展開に関する「文献目録(抄)」を完成させた。その目録は「0.通論」より「VI.清朝」までの全七章から成り、各章は内容に従った項目(例えば、「II.両漢時代」については、総記、学童識字書、義書〔訓詁学〕、方言書〔方言学〕、六書説、字書〔文字学〕、音訓書〔語源学〕、俗字書)に分けられ、各項目の下に、それぞれの時期に撰述された著作と、その著作に関する参考・研究書が記載されている。それは単なるの羅列ではなく、研究の流れが俯観できるように配慮したものである。それに拠るならば、周秦時代の荀子や孔子等の様に、古代ギリシャに於けると同様に解される思索・言語意識も指摘されるが、中国に於てはこの様な言語に関する言わば抽象的思惟は進展を見ることなく、両漢時代以降は専ら漢字の形音義に関心が集中し、その研究のみが継承され、清朝に至って集約的に結実する。今後は本研究で得られた資料・知見などを充分に活用した成果を遂次公表していく予定である。
|