1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530051
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
清水 啓典 一橋大学, 商学部, 教授 (70114949)
|
Keywords | 情報化 / 情報生産コスト / キャシュ・フロ- / 不確実性 / 合理的期待 / 担保 / 中小企業向け貸出 / 専門金融代機関制度 |
Research Abstract |
本年度は、(a)情報化が金融市場に与える影響についての分析を更に推進させると共に、(b)昨年度中に得られた理論的分析の結果を実証的に確認するための作業、(c)情報化の観点からの現実の金融制度改革の進め方に関する問題の分析、及び(d)全体の取り纏めを行なった。具体的には、(a)、(1)銀行の特徴が情報生産にあるとする観点から情報化の進展が金融政策に与える影響を分析し、銀行がコストのかかる情報生産を行なっているほど金融政策の効果がより高いこと、(2)担保の利用によって情報生産コストを節約することは、銀行の特珠性を低化させノンバンク等との競争関係を高めること、(3)担保の利用による不確実性の低下と情報生産コスト節約効果の理論的分析、(b)、(1)情報という観点から見た銀行の特珠性がキャッシュ・フロ-の不確実性の管理手段としての銀行貸出にあるという仮説、(2)情報生産コストの節約手段としての有担保制度の役割について、昨年度中に蓄積したデ-タに基づいた銀行行動の変化に関する実証分析、(1)情報化と市場の効率性に関する実証分析の推進、(c)、情報化の観点から見た、現在の日本の金融自由化の推進プロセスに関する分析と提言等を行った。また、以上の成果をいくつかの論文に取り纏めたが、本年度中に取り掛かった作業はなお進行中であるものも多く、すべての成果の取り纏めが今年度中に完了したわけではない。本年度の成果としては、特に実証分析によって、情報の持つ影響に関する理論的推論が15年間にわたる銀行行動の変化として非常に明瞭に確認できたこと、また金融制度の変化が現実の変化を後付ける形で進行していることを実証的に示すことができ、今後の金融制度の変化に関してもかなり明瞭な示唆が得られたことが挙げられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 清水 啓典: "情報・期待と金融制度" 一橋論叢. 101. 666-685 (1989)
-
[Publications] 清水 啓典: "日本の金融・資本市場の特殊性と情報" ビジネス・レビュ-. 37. 1-14 (1990)
-
[Publications] 清水 啓典: "小口預金金利自由化の現実と課題" 地銀協月報. 359. 2-12 (1990)
-
[Publications] 清水 啓典: "金融自由化と銀行の中小企業向け貸出" 商工金融. 41. 3-25 (1991)
-
[Publications] 清水 啓典: "情報化社会と日本の金融制度" 経済研究所年報(成城大学). 4. (1991)
-
[Publications] Carlo Filippini ed.Yoshinori Shimizu: "「Deregulation and the characteristics of the Japanese Financial Market」in『The Liberalization of the Jopanese Financial System』" Instituto di Studi EconomicoーSociali Par I'Asia Oriental;(ISESAO)Bocconi Univ.Milano,Italy, (1991)