1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530064
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
今久保 幸生 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (10136591)
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Keywords | 構想と執行の分離 / ライン・スタッフ組織 / 職長経済 / 技師経済 / 手工的熟練の解体 / 労働者の職場規制力の解体 / 事業部制工場組織 / 職員層の階層分化 |
Research Abstract |
計画推進の過程で、史料整理の都合等により研究手順・編別構成の一部練り直しを行った。その上で、まず工場管理機構の変革と労働力構成の変化を一次資料により解明し、「19世紀末ドイツ電機工業おける経営・労務政策」(7)、(8)、(9)、(10)として『佐賀大学経済論集』第22巻第2号(平成元年7月)、同第3号(同9号)、同第4号(同11月)、同第5号(平成2年1月)に公表した。これにより、19世紀末「近代的管理」の成立がドイツでは「職長経済」から「技師経済」への転化として把握されており、電機がその先頭を切ったこと、具体的には「経営技師制度」と「改良型上級職長制度」とにより「技師経済」への転化がなされたこと、これらに基づく熟練の解体により工場直接部門の基幹労働力が熟練労働者から半熟練労働者・女子労働者に代替したこと、だが現場職長の管理上の重要性は依然維持され、かつ労働力総体における熟練労働者の工程上ないし数量的比重はなお無視し得ず、かれらの職場規制力が残されていたこと、などが実態的に明らかにされた。こうした新知見に基づき、当該分野に関する内外の諸研究の問題点も批判的に検討された。 現在は、非機構的労働能率増進策に関わる労働時間管理および「出来高賃金制」について鋭意論文執筆を進めているが、掲載紙については、研究代表者が平成2年4月より転任予定の京都大学経済学部の学会紀要『経済論叢』への寄稿機会を待つほかない状況である。 平成2年度は、基幹従業員層形成策の展開という大項目を設定し、これを、1.企業内養成工・工場徒弟制度の導入、2.「経営内社会政策」の拡充、3.労使協議機構の形成の3つの小項目に細分しつつ、順次解明する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 今久保幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(7)" 佐賀大学経済論集. 第22巻第2号. 53-101 (1989)
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[Publications] 今久保幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(8)" 佐賀大学経済論集. 第22巻第3号. 99-153 (1989)
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[Publications] 今久保幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(9)" 佐賀大学経済論集. 第22巻第4号. 67-109 (1989)
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[Publications] 今久保幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(10)" 佐賀大学経済論集. 第22巻第5号. 71-118 (1990)