1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今久保 幸生 京都大学, 経済学部, 助教授 (10136591)
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Keywords | 労働能率増進策 / 所定労働時間短縮 / 労働時間最適限 / 労働時間濃密化 / 出退勤時刻管理 / 連続労働時間制 / 労働時間伸縮管理 / 時間外労働 |
Research Abstract |
1.本研究の目的や本年度の研究実施計画に従い、まず非機構的労働能率増進策の一部である労働時間管理を対象として、「労働科学」等の研究史の批判的整理と一次史料等に基づく分析を進め、土地制度史学会大会報告をも踏まえつつとりまとめを行い、これを京都大学『経済論叢』第146巻第2号(1990年8月)、同第146巻第3号(90年9月)、同第146巻第4号(90年10月)に分載する運びとなった(ともに印刷事情の遅れで未公刊)。以上により、(1)労働時間管理の全体が物的・組織的改革や出来高賃金制の導入と対応し、また互いに補完関係にあったこと、および労働時間管理の3つの柱、つまり労働時間の短縮、労働時間の濃密化(後者は出退勤時刻管理の厳密化と連続労働時間制からなる)および労働時間の伸縮管理、も相互に補完し合い、上記の改革や出来高賃金制とともに、全体として労働能率増進の目的を果たすべく実施されたこと、(2)しかしまた、以上の労働時間管理の総体は、一方では労働者運動や国家の労働時間政策の規定を受けてそれらへの対応を余儀なくされてもいたが、他方では1900年前後の景気過熱期から恐慌期にかけては、むしろ経営主導の労働時間管理が、熾烈な資本間低価格競争と激しい景気変動に促迫されて、そうした外的影響をあえて抑えつつ、極端なまでに推し進められたこと、等が解明された。やがてこの事情は労働者運動の新たな強い対抗を呼び起こすものとなろう。ともあれ、ここに析出された労働時間管理の多様な相互連関的構造は、従来の研究史にない新たな知見の一部をなすといってよい。 2.出来高賃金制の導入に関しては、非機構的労働能率増進策全体の限界の問題やそのまとめともあわせて現在脱稿に近づきつつあり、これまた京都大学『経済論叢』への掲載を予定している。労働力養成の問題については、収集文献・資料の整理を勢力的に実施中、というのが現在の状況である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 今久保 幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(11)" 京都大学『経済論叢』. 146ー2. (1990)
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[Publications] 今久保 幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(12)" 京都大学『経済論叢』. 146ー3. (1990)
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[Publications] 今久保 幸生: "19世紀末ドイツ電機工業における経営・労務政策(13)" 京都大学『経済論叢』. 146ー4. (1990)