1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530082
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
岸 悦三 広島修道大学, 商学部, 教授 (60079275)
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Keywords | フランス商事王令会計規定 / 期間損益計算の展開 / ジェノアの財務官マッサリ / 代理人会計 / パチョ-リ / 受託責任会計 / コトルリ / インピン |
Research Abstract |
制度会計の中核たる商法会計は原始商法たるフランス商事王令(サヴァリ-法典)会計規定によってその基盤が据えられたといえる。本規定は商業資本主義黎明期のフランスの政治・社会・経済情勢を背景に、簿記の発展、期間損益計算の展開、商法商業帳簿規定、破産法規定の整備の接点において成立したと考えられる。私はかっる広い視点に立って、これを考察し、しかもそれらの歴史的生成過程を明らかにせんと努めた。簿記・会計規定は本規定によって法的基盤、制度的浮揚力を与えられて発展し、反面、法的整備は簿記・会計の進展を促し、両者は相互に絡みあいつつ進化した。本研究よってその具体的解明の緒をつかみえた。 現存する最古の複式簿記による帳簿は1340年の日付を有するジェノアの財務官マッサリのそれである。しかし勘定の萌芽は早くも1211年の日付を有するフィレンツェの銀行家の帳簿に見出される。 さて、いうまでもなく複式簿記は長い進化を経て成立したものである。その起源はある意味で恐らく古代ロ-マに遡りうるであろう。およそ、会計には企業の所有主が自ら行う会計と所有主のために代理人によって行われる会計との二つがある。 代理人会計を基調とする古代以来の帳簿発展史のある段階において開花したものが所有主会計の簿記であり、それを明快に説いたものこそ、パチョ-リに外ならない。 私は会計の本質を受託責任会計とし、それを発展せしめる契機を財産の委託受託関係に求める。かっる見地から会計を進展せしめるモメントの代理人会計のうちにありと考える。 本研究において徐上のことを確かめえた。すなわちコトルリ、パチョ-リ、インピンの徹底的比較を通じてこれを明らかにしえた。また、期間損益計算は中世末のイタリアにおいて行われていたことを解明しえた。
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Research Products
(2 results)