1989 Fiscal Year Annual Research Report
MAPON法を用いた原子核の電気的四重極子能率の測定
Project/Area Number |
01540238
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大矢 進 新潟大学, 理学部, 助教授 (90092676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陸路 直 新潟大学, 理学部, 教授 (90004267)
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Keywords | MAPON法 / 結晶電場勾配 / 電気的四重極子能率 |
Research Abstract |
強磁性体中の不純物には、強い内部磁場以外に弱い電場勾配ができる。この影響を従来のNMR-ONの方法で共鳴線から分離できない場合、MAPONの新しい方法によ原子核の電気四重極モ-メントを測定する可能性がもてる。まずこの方法の確立のため試料を^<57>Coと鉄の単結晶を用いて製作した。水素ガス中850℃の温度で約20分間^<57>Co鉄の単結晶に熱拡散させて作成した。この試料を3He/4He希釈冷凍機で7mKに冷却して、外部磁場2kGで293.8MHzで幅約0.3MHzの共鳴スペクトルを得た。これは従来報告されているものと一致した。MAPONの実験のためにシンセサイザ-のRF信号fに別の信号源からの変調信号dfをダブルバラスドミキサ-を用いては±dfの信号をを発生させた。この信号を共鳴領域292.3〜294.3MHzを2.2秒でスイ-プさせて、^<57>Coの136keVのγ線強度変化を観測した。MAPONのデ-タはこの強度変化を、変調周波数を1〜50kHzに変えることにより得た。これによりν_Q=3eqQ/2I(2I-1)の値を9kHzと得た。これは今までオ-ストラリアのグル-プが報告している値18kHzの半分の値である。このくい違いは現在検討中であるが、つぎのことが考えられる。試料の対称軸(〈100〉を用いた)が違っているか、断熱パラメ-タ-の変化に対して違っているか、RF信号によるスプリアスの問題かが考えられる。RF信号はスペクトルアナライザ-で常時監視しているが信号のレベルで微妙な点もある。平行して行なわれたオックスフォ-ドグル-プとのMAPONの実験ではν_Qが300kHz以上の広い領域に分布していて不純電子の4d領域ではかなり電場勾配が広がっていることが考えられる。
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