1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540367
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
徳江 郁雄 新潟大学, 理学部, 助教授 (90101063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 博 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (60186476)
伊藤 良夫 新潟大学, 理学部, 教授 (00018251)
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Keywords | 振動・回転分布 / 電子衝突 / 発光過程 / 分子クラスタ- |
Research Abstract |
本研究では冷却した固体表面に簡単な分子(水、アルコ-ル類)を蒸着させ、電子との衝突による励起やイオン化過程を明らかにすることを目的とし、発光観測と質量分析を用いることを計画した。しかし、現在の装置で固体表面を直接観測することは、S/Nが悪いことや残留ガスの混入のために困難と考えられた。そこで超音速分子線で分子クラスタ-を作り電子ビ-ムとの衝突による発光を観測し、ガスセルの結果と比較してクラスタ-内にとける反応過程の情報を得て、固体表面での反応を推測しようとした。(1)ヘリウムガスにシ-ドした水からのOH(A-X)バンドを観測し、包絡線解析からA状態の振動回転分布を得た。回転温度として約7000Kの値が得られ、30-300eVの範囲では一定であった。一方ガスセルの結果では8000Kであり、超音速ジェット中の方が回転温度が低いことが分かった。これはクラスタ-中で生成したOH(A)が回りの分子と衝突緩和を起こしていることによると推測される。 (2)ヘリウムガスにシ-ドしたメタノ-ルからのOH(A-X)バンドとCH(A-X)バンドとを同様に解析した。OH(A)状態の回転温度はジェット中では3000±150K、ガスセルでは3550±150Kで、ジェット中の方が有意の差で低温になっている。一方CH(A)状態については両者とも3000Kで差はなかった。OHとCHとの温度の差が生成機構によるものなのか、回転緩和の速度の違いによるものなのか現在検討中である。 次に装置を改造し、固体表面に蒸着した水やメタノ-ルに電子衝突させて発光を観測した。しかし発光が弱く解析は困難であり反応機構の考察は進んでいない。現在、発光強度を稼ぐために装置を改良している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikuo Tokue: "Formation of OH(A)by electron impact of H_2O in a supersonic free jet" Chemical Physics.
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[Publications] Ikuo Tokue: "Formation of OH(A)and CH(A)by electron impact of CH_3 OH in a supersonic free jet" Chmical Physics.