1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540369
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
神宮寺 守 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (60016186)
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Keywords | 振動化学反応 / 化学波動 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
本研究では振動化学反応系に光照射することにより、化学波動の光誘起とその機構および化学波動の移動に対する光効果について調べた。 1.振動化学反応系として基本的なBelousov-Zhabotinskii(BZ)反応を選び、触媒としてはRu(bpy)_3^<2+>を用いた。ペトリ皿中で薄層(約2mm)にしたBZ反応溶液に、特別な形(円形、三角形、四角形、星形)にあけたオ-プニングを通して近紫外光を照射した。化学波動の生成と移動はこの光照射で同時に励起されるRu(bpy)_3^<2+>からのりん光を写真で記録することにより観測した。 2.光照射後約30sで用いたオ-プニングの形に対応した化学波動が光照射領域と光照射されない影の領域の境界で発生し、内側に向かって移動し始める。引き続いて新しい波動が境界で周期的に生成し、最後にパタ-ンの中心で消滅することが観測された。円波動の位置の時間に対するプロットから、円波動は約47sの等間隔で発生し、その移動速度はほぼ一定で3.4mm/minと求められた。また、この実験で観測された四角などの直線だけから成る化学波動は最初の観測例である。これらの移動は、波動を構成する各辺が内側に向かって同じ速度で移動し、それぞれ対応する角で衝突して消滅することが明らかにされた。 3.境界近くの影領域で溶液の酸化還元電位の変化を測定し、境界での化学波動の光誘起との相関を調べたところ、化学波動の発生周期が影の溶液の振動周期とほぼ一致した。この結果から化学波動の光誘起機構として、溶液の振動で影の領域が酸化状態になった時に酸化的な化学波動が境界で発生し、還元性の光照射領域へ移動すると考えられる。 4.Ar^+レ-ザ-を用い、振動反応中におけるRu(bpy)_3^<2+>のりん光の強度変化とりん光寿命を測定した。現在、振動化学反応に対する光効果の機構を励起状態を含めた素反応レベルで検討している。
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Research Products
(1 results)