ユ-グレナ葉緑体形成の初期過程における構成酵素の局在性

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01540582
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 長舩 哲斉 東京医科大学, 医学部, 講師 (70074630)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 長谷 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (00013293) ; 角田 修次 東京医科大学, 医学部, 助手 (70147213)
• Keywords: Euglena gracilis / RuBisCO / LHCPII / Golgi apparatus / 葉緑体形成

Research Abstract

先にわれわれはユ-グレナ細胞は前培養条件を適切に選べば、葉緑体形成の初期暗過程が観察できることをみいだし研究を行っている。本報告は光と無関係に進行する一部の葉緑体形成過程と、光照射によって初めて葉緑体形成が進行する過程とを区別し、免疫電子顕微鏡法を用いてRuBisCoと、光によって初めて誘導されるLHCPII酵素の細胞内配置を観察した。Euglena GracilisZ株を暗静置培養し細胞質に脂質を蓄積させた後、暗所で有機炭素源を除いた無機倍地に移し、通気すると(0時間細胞)酸化による脂質の急激な減少により細胞分裂が始まる。それに伴ってRuBisCOの比活性は暗所144時間でおよそ10倍に増加し、以後一定の値を保つ。この結果、Western Blotting法による蛋白質の増加パタ-ンとも一致した。この間(暗所)プロプラスチドの内部構造の一部の発達がみられ、特にプロピレノイドと思われる構造が24時間前後からプロラメラ体に隣り合って形成された。144時間前後にはプロピレノイド様構造のサイズは直径1μm(出現頻度60〜70%)になった。ピレノイド内部にはガ-ドルチラコイドが陥入し規則性をもって折り畳まれ、チラコイド膜はラメラ構造を形成する。しかし暗所ではプロプラスチドはこれ以上の発達は見られない。連続超薄切片法一免疫電子顕微鏡法によりRuBisCO蛋白の細胞内局在性を追跡すると、RuBisCOは葉緑体のピレノイド構造と同様に、暗所で形成されたピレノイド様構造に特異的に局在することが判った。この結果、暗所で形成された構造はピレノイドであることが判った。次に、このような細胞に光を照射するとプロピレノイド内部からチラコイド膜がストロ-マに向って伸長する。免疫電子顕微鏡法によりLHCPII蛋白の配置を観察すると、光照射2時間後LHCPIIは最初ゴルジ体上に、その後ゴルジ体とプロプラスチドの両者に局在した。葉緑体が充分に発達するとLHCPIIは葉緑体のみに観察された。以上の結果から、合成されたLHCPIIはゴルジ体を通じて葉緑体に運ばれていくことが示唆された。

Research Products

• [Publications] Tetsuaki Osafune,Shuji Sumida,Tomoko Ehara,Eiji Hase: "Three-dimensional distribution of ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase in chloroplasts of actively photosynthesizing cell of Euglena gracilis" Journal of Electron Microscopy. 38. 399-402 (1989)
• [Publications] 長谷栄二,長舩哲斉: "Euglenaにおけるピレノイドとリブロ-スニリン酸カルボキシラ-ゼの動態" 日本農芸化学会誌. 63. 1513-1516 (1989)
• [Publications] Tetsuaki Osafune,Akiho Yokota,Shuji Sumida,Eiji Hase: "Immunogold localization of ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase with reference to the morphology of pyrenoid in chloroplasts of synchronized cells of Euglena gracilis." Plant Physiology. 92. (1990)
• [Publications] Tetsuaki Osafune,Jerome A.Schiff,Eiji Hase: "Immunolocalization of LHCPII apoprotein in the Golgi of Euglena." Cell Structure and Function. 15. (1990)
• [Publications] Tetsuaki Osafune,Tomoko Ehara,Shuji Sumida, Akira Ito,Eiji Hase.: "Incorporation of cytoplasmic structures by developing proplastids in dark-grown Euglena gracilis cells transferred to an inorganic medium in darkness." Journal of Electron Microscopy. 39. (1990)
• [Publications] Tetsuaki Osafune,Tomoko Ehara,Shuji Sumida,Masaaki Kodama, Eiji Hase.: "Electron microscopic evidence for the occurrence of ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase in“propyrenoids"of Euglena gracilis." Journal of Electron Microscopy. 39. (1990)