1989 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光抗体法による生殖細胞形成における特異的分裂の解析
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01540583
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺坂 治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80110930)
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Keywords | アクチン / 花粉 / 蛍光抗体法 / 細胞骨格 / 生殖細胞 / 微小管 / 不均等分裂 |
Research Abstract |
被子植物の花粉形成過程では、小胞子の不均等分裂により生殖細胞と栄養細胞を、生殖細胞の分裂により2個の精細胞を、また栄養細胞は花粉管を形成する。本年度は主に、小胞子の不均等分裂、不均等分裂に不可欠な細胞内核移動、生殖細胞分裂における染色体のタンデム配列等に対する微小管とアクチンの関連性を、間接蛍光抗体法およびコルヒチン(Col)、サイトカラシンB処理(Cyt・B)法により解析した。 ヌマムラサキツユクサの小胞子では、分裂前に2度の核移動がおきるが、特に2度目は不均等分裂に不可欠である。この核移動では、移動に同調した多量の微小管再配列がおき、またColにより阻害されることから微小管関与であることが明らかになった。1度目の移動には微小管は関与しない。小胞子分裂での微小管の動態は、根端細胞など通常の分裂に類似するが、紡錘体は両極間で非同調的に発達しその形態も非対照的で、隔膜形成体が生殖核側に湾曲するなど不均等分裂に関連した特徴を示す。成熟花粉粒では生殖細胞は著しく伸長し、その長軸方向に微小管が多数配向する。この伸長はColにより阻害された微小管関与であることを示す。栄養細胞には微小管はほとんどない。花粉管内における生殖細胞分裂では、ハナニラ、ミドリアマナの紡錘体はほぼ通常の構造であるが、エビネ類、ヌミムラサキツユクサでは染色体のタンデム配列に関連し、半紡錘体同士がオ-バラップした特異な構造をとる。アクチンは小胞子の中間期〜前期の核周辺と隔膜形成体に局在し紡錘体にはほとんどない。また、Cyt・Bは2度の核移動とも阻害しない。成熟花粉粒ではアクチン繊維が栄養細胞に大量に蓄積し、生殖細胞にはほとんどない。伸長中の花粉管内にはアクチンと微小管がその長軸に配向しCyt・Bにより原形質流動と花粉管伸長が阻害され、Colではともに阻害されない。即ち、花粉管の伸長生長にはアクチンが重要な役割を果たしている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Osamu Terasaka: "Peculiar spindle configuration in the pollen tube revealed by the antiーtubulin immunofluorescence method." Botanical Magazine Tokyo. 102. 143-147 (1989)
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[Publications] 寺坂治: "蛍光抗体法によるヌマムラサキツユクサ生殖細胞紡錘体の解析" 日本花粉学会会誌. 35. 7-12 (1989)
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[Publications] Osamu Terasaka: "Unequal cell division and chromatin differentiation in pollen grain cells.II.Microtubule dynamics with the unequal cell division." Botanical Magazine Tokyo. 103. (1990)