1991 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光抗体法による生殖細胞形成における特異的分裂の解析
Project/Area Number |
01540583
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺坂 治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80110930)
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Keywords | ミオシン / アクトミオシン / 花粉 / 生殖細胞 / 栄養細胞 / 細胞運動 / 蛍光抗体法 / Nーエチルマレイミド |
Research Abstract |
被子植物の花粉管にはアクチンが存在し、花粉内細胞器官にはミオシンが分布することから、花粉管内原形質流動はアクトミオシン系関与であることが示唆されている。本研究は被子植物の受精過程における生殖細胞および栄養細胞核の花粉管内運動機構を解析するため、ムラサキツユクサ、ヌマムラサキツユクサおよびハナニラ花粉におけるミオシンの動態を抗ーミオシン間接蛍光抗体法およびアクトミオシンATPア-ゼ活性阻害剤であるNーエチルマレイミド処理実験により解析した。用いた3植物の生殖細胞と栄養細胞内顆粒の表面に、ミオシンが存在し、ムラサキツユクサの生殖細胞では細胞長軸に沿って線状に、他2種ではぼ均一に分布する。ムラサキツユクサにおけるこの分布は、花粉管におけるアクチンの配向によく対応したパタ-ンと考えられる。しかし、栄養細胞核においては3種間で異なり、ムラサキツユクサではミオシン由来の蛍光が生殖細胞と同程度の強さで核表面に均一に検出されるが、ヌマムラサキツユクサでは生殖細胞にくらべて弱く、また、ハナニラではほとんど検出されない。ヌマムラサキツユクサおよびハナニラの成熟花粉粒を5mMNーエチルマレイミドにより処理すると花粉管の花芽は完全に阻害される。また、伸長中の花粉を処理すると、花粉管内の生殖細胞、栄養細胞核、細胞顆粒のすべての運動で停止し、花粉管伸長も阻害される。 以上の結果およびすでに報告されている花粉管におけるアクチンの動態より、被子植物と生殖細胞と栄養細胞内顆粒の花粉管内運動は、アクトミオシン系関与であることがさらに示唆された。しかし、栄養細胞核におけるミオシンの分布は種間で異なっており、その意義については、なお、研究継続中である。
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