1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540603
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
本川 達雄 琉球大学, 理学部, 助教授 (80092352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 あきら 島根大学, 理学部, 助教授 (60032629)
|
Keywords | キャッチ結合組織 / 棘皮動物 / カルシウム / ナマコ / ヒトデ |
Research Abstract |
本研究の最大の成果は、カルシウムイオンがキャッチをひきおこすことを強く示唆する結果が、はじめて得られた事である。シカクナマコの体壁を、無刺激でキャッチしていない状態と、高濃度のカリウムイオンを含む人工海水でキャッチ状態にしたものとを、ピロアンチモン酸存在下で固定して、電子顕微鏡で観察した。キャッチしていない状態では、ピロアンチモン酸の沈澱は、2種類の細胞の中に観察された。大きなvacuoleを持った細胞のvacuole中と、0.2-0.6μmの楕円形で電子密度の高い顆粒をたくさん持つ細胞の顆粒の中とである。分析電子顕微鏡(EDAX)の分析により、これらの沈澱はカルシウムを含むことが分かった。一方、顆粒中の沈澱には変化がなかった。以上の結果は、vacuole中からカルシウムが放出されることによりキャッチが引き起こされることを強く示唆しており、キャッチ結合組織の機構を理解する上での、重要な発見といってよい。 もう一つの成果は、ヒトデの腕のかたさとその変化を、はじめて定量的に記載し、この変化が、キャッチ結合組織によることをほぼ確実にしたことである。腕のかたさは曲げ試験を行い、梁理論を適用することにより求めた。腕の形態学的研究から、腕の形と断面二次モ-メントを記載する関係式をつくり、これをもとに、たわみ量からかたさ(ヤング率)を産出する式をもとめた。アオヒトデのかたさは、刺激をくわえない状態では8MPaであった。機械刺激により、かたさは3倍に増加した。かたさはイオン環境により大きく変わった。これは、体壁の結合組織がキャッチ結合組織であり、これがかたさの変化を引き起こしていることを示唆する結果である。ヒトデにもキャッチ結合組織の存在することがほぼ確実になった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Wainwright,S.A.and Motokawa,T.: "Stiffness change of starfish arm" 投稿準備中.
-
[Publications] Matsuno,A.and Motokawa,T.: "Calcium movement in catch connective tissue." 投稿準備中.
-
[Publications] 本川達雄: "キャッチ結合組織" バイオレオロジ-. 4. (1990)
-
[Publications] 本川達雄: "細胞のバイオメカニクス(分担執筆)" オ-ム社,
-
[Publications] Motokawa,T.: "Yearbook of Science and Technology(分担執筆)" McGrawhill, 3 (1989)