1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540614
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
渡辺 洋子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (90017202)
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Keywords | 淡水海綿 / 種 / 分布 / 環境 / 水質 |
Research Abstract |
1.琵琶湖の淡水海綿の分布と生活環 琵琶湖の淡水海綿の生息調査は湖岸ののべ46地点および、6月、7月、9月、11月の4回、沖の白石、竹生島、藤ケ崎沖など、のべ16地点で潜水およびドレッジによる調査を行なった。琵琶湖中心部の水深80mの沖の白石付近では水深3mから10mまで主にヌマカイメンとヨワカイメンで占められていた。藻類の共生は5mより浅部の海綿のみにみられ、7mおよび10mの個体では藻類の共生はみられなかった。 ヌマカイメンの有性生殖は6月及び7月にみられた。夏期において表面水温は湖心部と湖岸部で約3℃、湖心部では水深10m差でさらに2.5℃の差があり、全体で5.5℃の温度差にもかかわらず有性生殖は同時期であった。 2.汽水性のシロカイメンの分布と塩分濃度 典型的な淡水域と海域とを結ぶ推移帯とみられる島根県中海、宍道湖及び流入河川についてシロカイメンの生息状況を調べた。塩分濃度は海から遠ざかるに従って段階的な差がみられる。シロカイメンは塩分濃度10%_0から15%_0の中海には生息せず、50%_0以下の宍道湖および船川河口(塩分濃度0.6%_0以下)に生息が認められた。ここでは主として淡水性のカワカイメン、ヨコトネカイメンも同時に生息していた。 海水を種々の割合で希釈した培養液中で、シロカイメン及びカワカイメンの芽球を培養し、その発芽率から塩分濃度に対する適応性を調べた。その結果、シロカイメンの芽球は塩分濃度9%_0から0.3%_0までの範囲で発芽し、成長した。淡水域にのみに分布するカワイカメンでも実験的には4.6%_0から0.1%_0まで発芽、成長した。これらの結果から実際の分布より広い塩濃度に適応できることがわかった。
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[Publications] 渡辺 洋子: "海綿動物の無性生殖" 月刊細胞. 22. 379-383 (1990)
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[Publications] Y.Watanabe,Y.Masuda,N.Fujieda+M.Nishino: "Freshwater sporges from the Lake Biwa" Trans.Amer.Micros.Soc.発表予定.
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[Publications] H.Mizoguchi,Y.Watanabe & I.Yasumasu: "Collagen synthesis in the freshwater sponge Ephydatio fluviatilis" Roux's Arch.Develop.Biol.
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[Publications] 渡辺 洋子(西村三郎編): "海綿動物(海岸動物図鑑上巻)" 保育社, 300 (1991)