1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540614
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
渡辺 洋子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (90017202)
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Keywords | 淡水海綿 / 種 / 分布 / 環境 / 水質 |
Research Abstract |
本年度の調査は主に琵琶湖を中心に行なった。1988年12月の調査を再検討し、1989年8月、12月および1990年2月の3回、湖岸の述べ45地点について行なった。川村らの報告(1925年)および佐々木(1973)と比較して種数においてはあまり変化はないが、分布と季節的消長に変化が見られた。採集された海綿の種数は未同定1種を含めて11種、琵琶湖に未記載のツツミカイメン(Trochospongilla latouchiana)、カワカイメン(Ephydatia fluviatilis)が採集された。また川村の記載以後未確認のヤワカイメン(Stratospongilla clementis)の分布は湖北部の藤ケ崎、菅浦に片寄り、12月に幼若固体(phase1)がみられ、2月にはphase3に達している固体がみられた。8月には湖岸には全くヤワカイメンは見られず、調査時に採集されたヤワカイメンには有性生殖期の固体も芽球形成も見られなかった。この海綿の生活史には依然疑問がもたれる。3月から8月の期間に再調査の必要がある。 都市化の進行による水質の悪化と人工護岸壁の普及によって南湖の湖岸には海綿の種数、固体数共に過去の記録より減少している。湖南部いではヨワカイメン(Eunapius fragilis)、ミュ-ラ-カイメン(Ephydatia muelleri)が主体になり、これらの海綿が比較的汚染に抵抗力があることが横利根川の調査でも示された。北湖の平均透明度が5.8mであるのに対して南湖のそれは2.0m、また水質の汚染度をCODで示すと平均北湖2.1ppmに対し、南湖では2.9ppmで南湖の汚染が示された。pHはいずれの地点でも7.0-7.3を示し、海綿の棲息に適性範囲であった。本年度は琵琶湖の調査に重点を置いたため横利根川地区、涸沼の調査が不十分であった。琵琶湖のデ-タを元に来年度は関東地方の淡水海綿重点を置く予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Mizoguchi: "Collagen synthesis in the freshwater sponge Ephydatia fluriatilis during development." Ronx's Arch.Develop.Biol.
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[Publications] Y.Watanabe: "Freshuwater sponges from the Lake Biwa" Trans.Amer.Microsc.Soc.
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[Publications] 渡辺洋子: "海綿動物の無性生殖" 月刊細胞. 22. (1990)
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[Publications] 渡辺洋子(西村三郎編): "海綿動物(海岸動物図鑑上巻)" 保育社, (1990)