1991 Fiscal Year Annual Research Report
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01540614
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Research Institution | Dept. Biology, Fac. Science, Ochanomizu University |
Principal Investigator |
渡辺 洋子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (90017202)
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Keywords | 淡水海綿 / 分類 / 分布 / 琵琶湖 / 環境 / 塩濃度 |
Research Abstract |
本邦産の淡水海綿の種と分布状況を調査し、その生息環境と分布状況の係わりを調べた。主な調査地は琵琶湖、宍道湖、涸沼、霞ケ浦周辺の水路および北山川である。 琵琶湖では南湖2区域、北湖5区域および湖心部の合計8区域に分け35地点について6回の調査を行なった。この結果、従来琵琶湖で記録された種の中、オオツカイメン1種の生息は認められなかった。しかし、過去に記録されていない種で、新たにカワカイメン、ツツミカイメン、ジ-カイメン、マツモトカイメンの4種の生息が確認され、琵琶湖では8属11種の生息が確認された。分布状況は水質汚染度の高い南湖と北湖南部でヨワカイメン、ミュ-ラ-カイメン群が主に分布し、水質状況の良好な北湖へゆくに従ってこれらの種は減少し、ヌマカイメン、ヤワカイメンが分布の主流になる傾向がみられた。琵琶湖固有種であるヤワカイメンは奥琵琶湖に最も多く、現在では水質状況の良好な最北部と湖心部にのみ分布が限られていた。ヤワカイメンは芽球形成による無性生殖はみられず有性生殖の時期も不明であった。 宍道湖では湖内の塩濃度0.6‰から3.3‰の汽水域にはシロカイメン1種のみが生息していた。流入河川の船川では塩濃度0.1‰から0.5‰と淡水域であるにもかかわらず、カワカイメン、ジ-カイメン、ヨコトネカイメンと共にシロカイメンの生息もみられた。シロカイメンは汽水域から淡水域まで広範囲の塩濃度に適応していることがわかった。このことは芽球を用いた広範囲の塩濃度に適応していることがわかった。このことは芽球を用いた発芽実験でも確められた。茨城県横利根川で1983年本研究者らが新属新種として発表したヨコトネカイメンが船川下流で採取され2番目の記録となった。 霞ケ浦周辺はカワカイメン、ヨワカイメンを中心とした比較的安定した分布を示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺 洋子: "海綿動物の無性生殖" 月刊細胞. 22. 379-383 (1990)
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[Publications] Y.Watanabe and M.Nishino: "Freshwater Sponges of the Lake Biwa" Trans.Amer.Micros.Soc.
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[Publications] A.Yamasaki and Y.Watanabe: "Involvement of Maternal Choanocytes during Embryogenesis in Sycon Calcarーavis" J.Morph.
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[Publications] Y.Watanabe and M.Seimiya: "Lower Salinity Tolerance in Spongilla alba,Freshwater Sponge Living in the Brackish Water." Hydrobiologia.
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[Publications] Watanabe,Y.Klaus Ruetzler ed.: "New Perspectives in Sponge Biology" Smithonian Institution Press, 533 (1991)
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[Publications] 渡辺 洋子,西村 三郎篇: "海岸動物図監(海綿動物)" 保育社, 300 (1992)