1989 Fiscal Year Annual Research Report
桜島火山灰の発泡現象と含水硫酸カルシウム結晶およびその環境に与える影響
Project/Area Number |
01540668
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大庭 昇 鹿児島大学, 理学部, 教授 (00041210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 温彦 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (00041236)
富田 克利 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20041220)
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Keywords | 桜島火山灰 / 発泡現象 / 含水硫酸カルシウム / 環境影響 |
Research Abstract |
大正3年(1914年)桜島火山爆発当時の火山灰は白色の火山灰、すなわち本研究者グル-プのいう白灰(しろはい)によって特徴づけられるが、1984年以降しばしば、特に1987年以来比較的頻繁に白灰または白灰の特徴を有する黒灰(くろはい)、すなわち白灰的黒灰の噴出が認められる。この事実は、前に行った研究結果によれば、火口が開かれており、マグマが直接連続的に大気中に放出される状況下にあるということを示唆している。 噴出したばかりの新鮮な火山灰には、環境基準規制対象とされる10ミクロン以下の工場公害源浮遊塵に相当する粒径粒子4〜3%(重量比)含み、欧米で国際的大問題となっている酸性雨をつくる硫酸イオンおよび塩素イオンがかなりの量随伴されている。火山灰はどこへでも飛んでゆき、どんな隙間からでも侵入し、あらゆる物質を劣化腐食させ、広域にわたり自然環境および社会環境に甚大な悪影響を与えている。 白灰に特徴的とおもわれてきた火山ガラス粒子における火山ガスの逸出を示す空隙または気胞の存在、および含水硫酸カルシウム結晶の随伴が、通常の火山灰中でもしばしば認められる。このことは、最近の白灰または白灰的黒灰の噴出が比較的頻繁になったことともあわせ、マグマ噴出のメカニズムに何か変化のあったことを推定させる。 1974年以降、放射線医学者と、また、1988年以降、公衆衛生学等医学研究者グル-プと研究打合せ等協議を行なってきているが、その結果、火山灰および随伴する酸性火山ガス成分が人体健康に悪影響を与えている事実がますます明らかになりつつある。また、桜島における頻繁な土石流発生のメカニズムが、本研究で指摘している火山灰の物性と重要な関係にあるらしいことが判明しつつあり、防災関係土木工学研究者との共同研究の必要性を相談中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tomita,K.,Kanai,T.,Kobayashi,T.,and Ooba,N.: "Accretionary lapilli formed by the eruption of Sakurajima Volcano" Jour.Japan.Assoc.Min.Petr.Econ.Geol.80. 49-54 (1985)
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[Publications] Ooba,N.,Tomita,K.,Yamamoto,M.,Istidjab,M.,Badruddin,M.,Sudradjat,A.,and Suhanda,T.: "Geochemical comparison of volcanic products of Krakatau Group and Aira Caldera-Sakurajima Volcano" Proceedings of Symposium on 100 Years Development of Krakatau and its Surroundings,Jakarta,Indonesia,23-27 August 1983. 1. 94-99 (1985)
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[Publications] Ooba,N.,Tomita,K.,and Yamamoto,M.: "Nature of volcanic ashes of Sakurajima Volcano,Japan,and its environmental effects" 14th Pacific Science Congress (XIV PSC),Seoul,Korea. 1. 178 (1987)
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[Publications] Ooba,N.,Tomita,K.,and Yamamoto,M.: "Vesiculation and calcium hydrosulfate crystals in volcanic ashes from Sakurajima Volcano,Japan,and their environmental effects" Kagoshima International Conference on Volcanoes. 454 (1988)
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[Publications] 大庭昇,富田克利,山本温彦: "桜島火山灰における発泡現象と含水硫酸カルシウム結晶およびその環境に与える影響" 鹿児島国際火山会議要旨集. 453 (1988)
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[Publications] Ooba,N.,Tomita,K.,and Yamamoto,M.: "Vesiculation and calcium hydrosulfate crystals in volcanic ashes from Sakurajima Volcano,Japan,and their environmental effects" Proceedings of Kagoshima International Conference on Volcanoes. 678-681 (1988)