1991 Fiscal Year Annual Research Report
次世代航空機械料アルミニウムーリチウム合金の疲労特性の評価に関する研究
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01550057
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小川 武史 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50167318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸梶 惠郎 岐阜大学, 工学部, 教授 (80021616)
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Keywords | 航空機材料 / アルミニウムーリチウム合金 / 疲労強度 / 回転曲げ / 切欠き効果 / 停留き裂 / き裂進展限界 / き裂発生限界 |
Research Abstract |
航空機材料では、疲労強度の評価が不可欠である。本研究はアルミニウムーリチウム合金の実用化をめざして,系統的に疲労強度特性を評価することを目的としている。すでにこれまでに,ピ-ク時効材の疲労強度の従来合金との比較,疲労強度に及ぼす時効条件の影響,腐食環境の影響などについて明らかにしてきた.これらの研究から,AlーLi合金が従来合金よりも優れた疲労強度特性を示す反面,きわめて延性に乏しいことが確認された.このことから,本材料が高い切欠き感受性を示すことが予想される.実際の部材では何らかの形状変化部が存在するので,疲労強度における切欠き効果を明らかにすることは実用的な観点から非常に重要である. そこで本年度の研究では,AlーLi合金2090および8090,従来合金7075ーT651および2024ーT3について,疲労における切欠き効果を調べた.各材料の平滑試験片(S材),半円形環状切欠き試験片(U材)およびV形環状切欠き試験片(V材)の疲労限度∂_wを求めるとともに停留き裂の観察を行った.得られた主な結果は,以下のとおりである. (1)S材の疲労限度∂_<w0>は,7075合金が最も高く,他の3つの材料はほぼ同じ値を示している.U材の疲労限度∂_<w1>は8090および7075合金が2090および2024合金よりも高い.V材の∂_<w1>は8090合金が他の材料と比較して,極めて高い. (2)8090合金のV材には,停留き裂が認められたが,その他の形状および他の材料においては,認められなかった.したがって,8090合金のV材の∂_<w1>は疲労き裂の進展限界を示し,その他の場合の∂_<w1>は疲労き裂の発生限界を意味している. (3)8090合金に認められた停留き裂は,き裂が傾斜して発生,進展する挙動に基づくものであり,切欠き係数を低下させる有益な効果がある.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 戸梶 惠郎: "AlーLi合金の静的強度と回転曲げ疲労強度" 材料. 39. 400-405 (1990)
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[Publications] 戸梶 惠郎: "AlーLi合金の疲労挙動に及ぼす時効条件の影響" 材料. 40. 444-450 (1991)
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[Publications] 戸梶 惠郎: "AlーLi合金の腐食疲労強度" 日本材料学会第40期総会学術講演会前刷集. 67-69 (1991)