1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550253
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
澤田 豊 東京工芸大学, 工学部, 助教授 (30187299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯泉 清賢 東京工芸大学, 工学部, 講師 (30064273)
久高 克也 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50064259)
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Keywords | 透明導電膜 / 低温製膜 / 低抵抗 / スパッタリング / 水蒸気 / 酸化インジウム / ITO膜 / タ-ゲット |
Research Abstract |
透明導電膜である酸化インジウム系薄膜(ITO膜)は液晶表示素子の透明電極などに広く使用されている。本研究の目的はITO膜の新しいスパッタリング製膜プロセスを確立することで、とくに独自の製膜法(水蒸気雰囲気での製膜)によって基板加熱なしに低抵抗の膜を実現することを目指している。本研究の実施計画では、初年度(平成元年度)に製膜条件の最適化を行い、次年度(平成2年度)に製膜条件、膜成長機構および膜物性の相関性を明らかにして普遍性ある応用技術への発展をはかることを計画している。今年度(平成2年度)に達成した成果は以下の通りである。 1.製膜:平成元年度の経験に基づき種々の製膜条件で薄膜試料を作製した。主な製膜パラメ-タ-は、膜厚、水蒸気分圧、基板温度である。 2.膜の評価:導電特性(抵抗、キャリア濃度およびキャリア易動度)は、直流4端子法およびパウ法で、光学特性は主として分光光度計で、結晶性と微構造は主としてX線回折法で評価して、膜の成長機構と膜特性の関係を検討した。そこで得られた知見として、室温での製膜に際して、(1)水蒸気導入を実施しない場合には膜が厚いと膜中のキャリア濃度が低下するが、水蒸気導入を実施すると膜が厚くてもキャリア濃度が低下しない事が確認された。また、(2)水蒸気導入を実施すると膜の結晶性が向上し、キャリア易動度が高くなる事が確認された。 3.総括:以上の結果を総括して、水蒸気導入による低抵抗膜の実現の原因は上記(1)および(2)の相乗効果によることを解明し、普遍性ある製膜技術確立への基礎を築き、当初の目標が達成された。 4.副次的成果:本研究の副次的成果として、高温基板上に結晶性の良い膜を堆積し、それを室温に冷却し更に膜堆積を実施すると、実蒸気導入を実施しなくても室温で結晶性・導電性の優れた膜が得られる事が明らかになり、新規な可能性が見いだされた。
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Research Products
(2 results)