1989 Fiscal Year Annual Research Report
科学情報変換・増幅能をもつ新しい人工二分子膜システムの開発
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01550579
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 直敏 長崎大学, 工学部, 助教授 (80136530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国武 雅司 長崎大学, 工学部, 助手 (40205109)
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Keywords | 二分子膜 / 情報変換 / 分子認識 / 蛍光プロ-ブ / 二分子膜電極 / クラウンエ-テル / 相転移 / 蛍光性クラウンエ-テル |
Research Abstract |
脂質二分子膜と膜タンパク質からなる細胞膜は、化学信号を電気信号に変換するトランスデュ-サとしての機能をもっている。本研究では、細胞膜の分子識別機構をモデル化した新しいタイプの分子認識、情報変換、増幅システムの開発を目的に研究を行っている。本年度の研究結果の概要は以下の様である。 (1)認識素子としてのクラウンエ-テルに蛍光発色基としてダンシル基を導入し、これを二分子膜に埋め込んだ。クラウンエ-テルとイオンとの錯形成による蛍光基のミクロ環境変化を期待したが、必ずしも大きな変化が観測されなかった。 (2)次に、クラウンエ-テルを含む二分子膜を調製し、これにアニオン性ケイ光プロ-ブを加えた。この二分子膜システムに金属イオンを加えると、イオンとクラウンエ-テルが錯形成し、金属イオン(カチオン)の対アニオンとしてケイ光プロ-ブが二分子膜界面に抽出され、ケイ光強度を変化させることを見出した。また二分子膜の流動性によりイオン選択性が変化した。この方法は、高度に組織化された分子集合系でのイオン認識を評価する一般的な方法になり得ると考えられ、次年度で詳細に検討する。 (3)二分子膜系での化学分子・イオン情報を電気情報に変換するデバイスの開発に対する基礎的検討を行った。本年度は、ラングミュア・ブロジェット膜及びポリイオンコンプレックス型脂質を用いて電極を修飾した。作製した二分子膜電極の複素インピ-ダンスを水溶液系及び気相系で調べたところ、インピ-ダンスパラメ-タが、二分子膜の相転移に伴い、劇的に変化することを見出した。これは、膜界面情報を電気信号に変換できることを示す興味ある結果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naotoshi Nakashima,Koji Nakano,Kotaro Yamashita,Makoto Takagi: "Detection of Phase Transition of Thin Langmuir-Blodgett Film based on an Electrical Capacitance Measurement" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1441-1442 (1989)
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[Publications] Naotoshi Nakashima,Hideo Eda,Masashi Kunitake,Osamu Manabe,Koji Nakano: "Design of a Molecular Bilayer Electrical Device" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1990)