1990 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌抗生物質ブレオマイシン生産菌における自己耐性機構の解明とその応用
Project/Area Number |
01550765
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 政則 広島大学, 医学部, 助教授 (30106801)
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Keywords | 抗癌剤 / 抗生物質 / 自己耐性 / ブレオマイシン / 耐性遺伝子 |
Research Abstract |
抗生物質は,微生物によってつくられ,微生物やその他の細胞,例えば癌細胞の増殖を阻害する.が,それを作つくる微生物が自らの産物によって自滅することはない.筆者は,抗癌抗生物質として皮膚癌や扁平上皮癌の治療薬として臨床的に使用されているブレオマイシンに関して,その生産菌の自己産物に対する耐性を明らかにするための研究を進めてきた.本抗生物質は,DNAに結合してDNAの一本鎖を切断する作用を持っている.これまでに,ブレオマイシン生産菌Streptomyces verticillus15003の無細胞抽出液の中にはアセチルコエンザイムA共存下で本抗生物質を不活性化する因子の存在することを見いだし,この因子が,65℃,5分の熱処理で失活する酵素,ブレオマイシンアセチルトランスフェラ-ゼであることを明らかにした.そこで,次に,本酵素遺伝子のクロ-ニングを試みた.その成果として,ブレオマイシンアセチルトランスフェラ-ゼ遺伝子の他にも本抗生物質に対する耐性を与える遺伝子の存在することを明らかにした.この遺伝子をblmAと命名し,アセチル化に係わる遺伝子を(blmB)と区別した.blmA遺伝子に関しては,700bpまでその必須領域を縮めることができたので,平成元年度にその全DNA塩基配列を決定した.平成2年度は,blmBに関して主に研究を進めた.blmB遺伝子は,3kbまでその必須領域を限定することができた.この3kbの断片を大腸菌プラスミドpUC18に連結し,大腸菌でのblmB遺伝子の発現性を調査した.その結果,本遺伝子は大腸菌で発現できることを明らかにした.このことは放線菌遺伝子のプロモ-タ-を大腸菌のRNAポリメラ-ゼが認識することを示しており,さらにblmB遺伝子のプロモ-タ-領域の解析を行っている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 杉山 政則: "抗生物質をつくる遺伝子" 実験医学. 7. 96-99 (1989)
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[Publications] Sugiyama,M.,Nomura,H.and Nimi,O: "Use of the tyrosinase gene from Streptomyces to probe promoter sequences of Escherichia coli" Plasmid. 23. 237-241 (1990)
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[Publications] Misoka,F.,Miyake,T.,Miyoshi,K.,Sugiyama,M.,Sakamoto,S.and Fuwa,T.: "Overproduction of human insulinーlike growth factorーII in Escherichia coli" Biotechnology Letters. 11. 839-844 (1989)
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[Publications] Sugiyama,M.,Mizuno,S.,Ohta,Y.,Mochizuki,H.and Nimi,O.: "Kinetic studies of streptomycin uptake implicated in selfresistance in a streptomycin producer" Biotechnology Letters. 12. 1-6 (1990)
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[Publications] Sugiyama,M.and Nimi,O.: "Streptomycin biosynthesis and selfーresistance mechanism in streptomycinーproducing Streptomyces griseus" Actinomycetol.4. 15-22 (1990)