1989 Fiscal Year Annual Research Report
DNA構造解析による植物病原糸状菌の遺伝的類縁性に関する研究
Project/Area Number |
01560056
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
国永 史朗 東日本学園大学, 教養部, 講師 (20094831)
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Keywords | Fusarium oxysporum / 分化型 / レ-ス / DNA / DNA相同性 / DNA再会合相反応速度解析法 / 土壌伝染性植物病原菌 / 化学分類 |
Research Abstract |
土壌伝染性植物病原菌Fusarium oxysporumの分化型(forma specialis)およびレ-ス(race)間の遺伝的類縁性を検討するため、DNA再会合反応速度解析法に基づきDNAの塩基配列の相同性を比較した。 1.Fusarium oxysporumの同一分化型間の遺伝的類縁性 本菌の3つの分化型(cucumerinum,melonis,conglutinans)について検討したところ,いずれも同一分化型間では,95%以上の高い相同性が示された。同一分化型内の遺伝的な均質性が確認された。 2.Fusarium oxysporumの異なる分化型間の遺伝的類縁性 アブラナ科植物に病原性を示す分化型(conglutinans,raphani)間、およびウリ科植物に病原性を示す分化型(cucumerinum,niveum,luffae)間では、90-95%の比較的高い相同性が示された。同一科の植物に病原性を有する分化型間において,系統発生的な関係が認められた。異なる科の植物に病原性を示す分化型間では、63-86%の相同性が示された。このことから、本菌の分化型は遺伝的に分化した種内群であると考えられた。また、DNA再会合反応速度解析法は本菌の分化型の識別に利用できることが確認された。 3.Fusarium oxysporum f.sp.lycopersiciレ-ス間の遺伝的類縁性 日本産のレ-スJ1、J2およびアメリカ合衆国産のレ-ス1、2、3間では、いずれも95%以上の高い相同性が示された。DNAの相同性比較からは、本分化型のレ-スは区別できなかった。また、日本産のレ-スJ3は、分化型radicis-lycopersiciと高い相同性(95%以上)を示した。このことから、レ-スJ3の分化型はradicis-lycopersiciとすべきであると考えられた。
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Research Products
(1 results)