1990 Fiscal Year Annual Research Report
食品に含まれるビタミンB_1とB_6の生物学的有効性
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01560103
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田寺 謙次郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60026515)
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Keywords | 結合型ビタミンB_1 / 生物学的有効性 / 大豆 / チアミン / ビタミンB_6 / ビタミンの損耗 / アスコルビン酸 / 植物性食品 |
Research Abstract |
1)植物性食品におけるビタミンB_6の損耗の機構:モデル系 植物性食品に含まれるビタミンB_6(B_6)が食品加工・調理により損失される機構について、前年度の研究によって開発された高速液体クロマトグラフィ-と微生物学的定量法を用いて検討した。植物性食品に含まれる濃度と同濃度のピリドキシン(PN)、アスコルビン酸(AsA)及び銅イオンを含む混液では、15〜20%のPNがAsAの酸化とともに分解され、6ーヒドロキシピリドキシンが生成した。ビタミンを主成分とする市販のドリンク剤及びグレ-プジュ-スにおいても、17%のB_6がアスコルビン酸の酸化によって分解された。またAsA含量を異にする4種の野菜のホモゲネ-トをオ-トクレ-ブした後、それぞれの野菜に含まれる濃度のAsAを添加すると、ビタミンB_6の10〜20%が分解され、その分解率はAsA濃度の高い野菜において大きかった。このように、種々の食品成分を含む系においても、B_6はAsAの自動酸化により生成された水酸基ラジカルによって分解された。実際の食品加工・調理に際しても本反応が進行しているものと考えられる。 (2)植物性食品に含まれるビタミンB_1の存在形態 各種植物性食品に含まれるビタミンB_1(B_1)を希硫酸抽出した後、タカジアスタ-ゼ、ホスファタ-ゼ及びグルコシダ-ゼを加えて一定温度に保温し、遊離されたチアミンを定量してB_1の存在形態を検討した。供試したすべての食品試料に配糖体型は存在しなかった。枝豆と大豆にはリン酸エステル型と異なる、タカジアスタ-ゼ易消化性の新結合型B_1が存在することを見いだした。このものはリン酸エステル型含量の低い大豆試料に多く存在した。大豆からの単離を試みたが、構造解析できる程度にまで精製できなかった。今後の検討課題として残された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kenjiro TADERA: "Isocratic Pairedーion Highーperformance Liquid Chromatographic Method to Determine B_6 Vitamers and Pyridoxine Glucoside in Foods." Agricultural and Biological Chemistry.55(2). 563-564 (1991)
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[Publications] Kenjiro TADERA: "Occurrence of Vitamin B_1 Conjugate in Soybeans." Journal of Nutritional Science and Vitaminology.In preparation.