1990 Fiscal Year Annual Research Report
B.thuringiensisの殺虫性蛋白質分子の生物活性部位の解析
Project/Area Number |
01560105
|
Research Institution | University of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
姫野 道夫 大阪府立大学, 農学部, 教授 (10026411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田野 晃 大阪府立大学, 農学部, 講師 (40081575)
|
Keywords | Bacillus thuriensis / 殺虫性蛋白質 / ICP / Sー内毒素 / 活性部位 / 蛋白質工学 / 欠失変異 |
Research Abstract |
Bacillus thuringiensis(BT)は昆虫に特異的に作用する分子量130kDaの殺虫蛋白質(ICP;別名、δー内毒素、δートキシンとも呼ばれる)を生産する。B.thuringiensis var.israelensisは、双翅目昆虫に特異的に作用するとともに1)昆虫神経毒活性、2)昆虫細胞毒活性、3)哺乳動物細胞毒活性、4)哺乳動物溶血活性、5)乳飲みマウス殺傷活性を有すると考えられている。そこでこのICP分子のどの部分にこれらの活性が存在するのか明らかにしようとした。クロ-ニングされたICP遺伝子を用いて大腸菌中で生産した128kDa(ISRH3由来蛋白質)には、哺乳動物溶血活性や哺乳動物細胞毒素活性などが無いことを明らかにした。そこで今回は、N末端側を欠失した種々の変異株やC末端側を欠失した変異株、殺虫活性を有するC末端側50%の遺伝子からさらにN末端側を削除した株、さらに、中央部分の種々の長さの小ペプチドなどを作成し、それらの殺虫(ボウフラ)活性と昆虫細胞毒性を測定した。 N末端から640番まで欠失させた613〜1135番(C末端)までのペプチドは殺虫活性と細胞毒性を有したが、716〜1135番までのペプチドではその活性を失っていた。次に、C末端側からの次失で2〜635番までのペプチドでは殺虫活性および細胞毒性を有していが、2〜602番までのペプチドではそれらの活性を失っていた。次に、蛋白質の中心部分を欠失したISRH3遺伝子を作った。即ち、560〜772番までの欠失では殺虫活性も細胞毒性も失っていた。そこで、560〜820番までの小ペプチドを作成したが、この場合も殺虫活性は認められなかった。なお、ISRH3蛋白質に対する兔のポリクロ-ナル抗体のエピト-プはC末端側に存在し773ー820番近傍と考えられている。これらの事より、殺虫活性と昆虫細胞毒性は同一部分によって決められていると考えられる。そしてその殺虫性決定部位はN末端と中心部、及びC末端部に存在することが明らになった。
|