1989 Fiscal Year Annual Research Report
新しい細胞周期阻害剤レプトマイシンを用いる真核細胞増殖制御遺伝子のクロ-ン化
Project/Area Number |
01560113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 稔 東京大学, 農学部, 助手 (80191617)
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Keywords | レプトマイシン / 細胞周期 / 分裂酵母 / 増殖関連遺伝子 |
Research Abstract |
レプトマイシンB(LMB)は、極めて低濃度で分裂酵母に著しい細胞伸長を誘起する物質として単離されたものであるが、これが正常繊維芽細胞と分裂酵母の細胞周期をともにG1とG2で特異的に停止させる新しい細胞周期阻害剤であることを明らかにした。そこでLMBの作用機構を明らかにするとともに、新たな増殖関連遺伝子のクロ-ン化をめざして、分裂酵母のLMB耐性変異株を多数取得したところ、その中に許容温度でLMB耐性、制限温度ではLMB非存在下で増殖が温度感受性となるLMB耐性温度感受性変異株が2株得られ、それぞれLM101とLM102と命名した。この両株においては胞子解析の結果、LMB耐性と増殖の温度感受性(cdc性)が連鎖していることが判明し、同一遺伝子の変異であることが示唆された。さらに安定2倍体を形成し、優劣検定を行なったところ、LM101ではLMB耐性、cdc性がともに劣性であり、LM102ではLMB耐性が優性、cdc性が劣性であった。LM101から目的の変異遺伝子をクロ-ン化するため、cdc性を相補する野生株の遺伝子をスクリ-ニングすることとし、大腸菌とのシャトルベクタ-pDB248′を用いた遺伝子ライブラリ-からLM101へのショットガンクロ-ニングを行なった。約4万のトランスフォ-マントの中から目的の遺伝子を含む5.2kbの遺伝子断片が得られ、サブクロ-ニングの結果1.0kbに切り縮めることができたので、その塩基配列を決定した。ところが、この配列中には頻繁に終止コドンが現われ、オ-プンリ-ディングフレ-ムをとりうる最長のものでもアミノ酸数40の蛋白質しかコ-ドしていなかった。現在、この遺伝子に相当するmRNAと、その産物の存在の確認を行なうとともに、新たにLMB102由来のLMB耐性遺伝子のクロ-ン化にも着したところである。
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Research Products
(1 results)