1989 Fiscal Year Annual Research Report
木材乾燥に対する意識の位相と国産乾燥木材の生産流通及び価格形成の適正化の研究
Project/Area Number |
01560170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堺 正紘 九州大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (70038248)
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Keywords | 木材乾燥 / 乾燥木材 / 木材の材質 / 木材の商品性 / 含水率 / 葉枯らし / 乾燥原木 |
Research Abstract |
木材の流通・利用をめぐる状況の変化、すなわち(1)住宅供給形態の変化(企業の進出やプレカットシステムの増加)、(2)冷暖房の普及や遮音・断熱性の向上の要求等の生活様式の変化、(3)大型木造建築物の増加、(4)伐出生産の機械化や原木市売市場の発達等による生産流通構造の変化などによって木材の乾燥問題がクロ-ズアップされるようになったが、乾燥木材の生産量はごく少ない。1987年に乾燥木材の生産量は945千m^3で、国産材44%、外材45%であるが、同年の製材工場の製材品出荷量の3.1%を占めるに過ぎない。しかも大半が造作材、フロ-リングや集成材の原板、家具用材、梱包用材などであり、柱角などの構造用材は29%しかない。 乾燥木材の生産流通の最適システムを検討するために、製材工場のアンケ-ト調査を、木材乾燥では最も問題点の多いとされているスギ材の主要な産地(秋田県北部地方、静岡県天竜地方、徳島県那賀川流域、宮崎県都城地方、熊本県小国地方及び球磨地方、大分県日田地方及び佐伯地方)の製材工場について行った。木材乾燥には原木の天然乾燥と製材品の天然乾燥及び人工乾燥があり、これらを効果的に組み合わせることが課題であるが、原木の天然乾燥1カ月以上は48%、製材品の天然乾燥1カ月以上は39%、製材品の人工乾燥は22%の工場が行っている。 多くの製材工場が、木材乾燥は、(1)狂いの減少など材質の向上、(2)在庫中のロスの減少や経営上の歩留まりの向上など商品性の向上、などにきわめて有効であると認識しているが、乾燥による価格向上が乾燥コストを償うに至らないため、乾燥施設の導入や増設の計画を持つ工場は44%に留まっている。もっとも、県レベルでの乾燥への取り組みを反映して、新増設計画(熊本県は63%、徳島県は19%)にみるように県による変異が著しい。
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Research Products
(1 results)