1989 Fiscal Year Annual Research Report
シロサケの資源密度が再生産力ならびに成長におよぼす影響
Project/Area Number |
01560213
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
井田 齊 北里大学, 水産学部, 教授 (90050533)
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Keywords | シロサケ / 小型化 / 肥満度 / 回帰年齢 / 性比 / 回帰資源量 / 鱗相 |
Research Abstract |
近年、東北地方に回帰するシロサケの回帰尾数は、岩手県を中心に飛躍的に増加した。この量的変化が、成長、肥満度、回帰年令、性比などのシロサケ資源の質におよぼした影響を検討した。 1.三陸地方の気仙川、盛川、片岸川で年齢別に魚体の大きさ(体長、体重)を比較すると、1975年以降、いづれの年齢群でも経年的に小型化傾向が認められた。この傾向は、1980年代にはいって特に明瞭となった。さらに、肥満度も減少傾向を示した。また、回帰親魚の平均体長と、本州(特に岩手県)への回帰尾数との間に負の相関が認められた。 2.海洋生活期の成長災を推定するために、前述の3河川で1980年から1988年までの隔年、4才魚の鱗相の解析を行った。年輪の間隔は、3河川とも同様の経年変化を示した。2年目と最終年には、明瞭な変動はみられなかった。しかし、3年目の間隔は減少傾向を示し、1984年回帰群で最小となったが、その後回復した。また1年目も減少傾向を示し、回帰年度で、1986、1988年と特に小さかった。このことから、海洋生活3年目の成長の遅滞と、それに引き続く1年目の成長の遅滞が回帰親魚の小型化に大きく寄与したものと推察された。 3.放流年級ごとの平均回帰年令は、振動しながらも上昇傾向を示す河川が多く、高年齢化が伺われた。さらに、岩手県への回帰尾数とその平均回帰年齢との間に正の相関があり、1.とあわせて、海洋生活期の密度依存的成長が示唆された。 4.回帰親魚中の雌の割合は、平均回帰年齢と正の相関があり、近年の回帰親魚中の雌の増加と、高齢化との関連が示唆された。 次年度は、さらに抱卵数、卵径などの再生産形質におよぼした影響を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] HAYASHIZAKI,K.& IDA,H.: "Density-dependent growth of chum salmon,Oncorhynchus keta,from Tohoku districts,Japan." 日本水産学会誌.
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[Publications] HAYASHIZAKI,K.& IDA,H.: "Population biology of chum salmon,Oncorhynchus keta,from Sanriku,Japan." 日本水産学会誌.