1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560234
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柳田 洋吉 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90021708)
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Keywords | 中京経済圏 / 農村労働市場 / 需要構造(労働力) / 供給構造(労働力) / 恒常的兼業勤務者 |
Research Abstract |
本調査研究は、現代日本農村における労働力の需要構造と供給構造の両側面から、農村労働市場の形態と性格を明らかにすることが目的である。具体的には、中京経済圏の中核都市名古屋市からおおむね20km圏の愛知県中島郡祖父江町、35km圏の岐阜県海津郡平田町、60km圏の岐阜県不破郡関ヶ原町の3町を分析対象地として、本年度は各町に立地している工場、計12工場を抽出し、その企業調査を実施して企業の労働力需要構造を明らかにし、平成2年度には、供給側の農家調査を実施することによって、農村労働市場の需要構造と供給構造の両側面からその形態と性格を明らかにするものである。これまでの調査によって得られた知見の要点を述べれば、次の通りである。1.中京経済圏の確立は、高度経済成長期の伊勢湾臨海工業地帯建設と道路交通網の開発設備を展開軸として確立した。この確立過程で、圏内工業は、重化学工業、とくに鉄鋼、石油化学工業や輸送用機械器具工業を中心に編成替えされ、膨大な下請中小企業も内陸都市部や周辺農村部に立地し、周辺のとくに農家の中高年男女労働力を吸収して拡大してきた。2.60年代以降、町内従業者、自宅従業者は減少している、町内通勤者、町外通勤者とも増加している。前者は、農家数や農業従事者および農家自営兼業者の急減が主な要因であり、後者は、都市への通勤者の急増と町内立地工場の増加およびその従業員増加に困る。3.原料立地の地場工場1除く11企業は下請中小企業または分工場であるが、これらの企業もまた下請、孫請、内職に発注(外注)しており、その対象者の過半は兼業農家である。4.雇用している従業員の大半は中高年男女であるが、資本、従業員数の規模拡大とともに新卒者(大学卒、高校卒)の割合が増加してきている。5.町内企業の求人に対する周辺供給労働力は少なく、高度化する技術を使いこなす労働力はとくに得にくい。
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