1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570079
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
森 憲作 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部門, 副部長 (60008563)
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Keywords | 匂い受容体 / 卵母細胞 / アミノ酸 / プロスタグランジン / 嗅細胞 / 膜電流 |
Research Abstract |
匂い受容分子をゼノバス卵母細胞に発現させる目的でフナの嗅粘膜(嗅受容細胞を多く含んでいる)よりmRNAを抽出し、ガラス微小管を用いて卵母細胞に圧注入した。24〜48時間後にmRNA注入卵を膜電位固定し、魚の匂い分子である各種アミノ酸を用いて刺激し、誘起される膜電流を測定した。この結果、ロイシン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸(各々1mM)の刺激により数十nAの内向き電流が誘起されるのが観測された。また、フナにおける嗅覚系を介するフェロモンであるプロスタグランジンF2α(20μM)を溶液中に投与すると外向きに引き続いて内向きの電流が記録された。各種アミノ酸および、プロスタグランジンF2αで誘起される内向きの電流は、ゆっくりとした時間経過をもつものであり、何らかの細胞内セカンドメッセンジャ-系を介しているものと考えられ、現在その系がどのようなものかを決定する実験をおこなっている。 匂い分子によってmRNA注入卵に誘起される内向き電流は、数十nAであり、細胞内情報伝達系の解析やcDNAのクロ-ニングには、不十分である。現在より効率のよい発現を目指して、各種条件の検討を行っている。また、上記の実験と並行して、嗅粘膜よりmRNAを抽出し、これを用いてcDNAのライブラリ-を作成した。このcDNAのライブラリ-より、匂い分子受容体が持つと予想される構造に対するオリゴヌクレオチドプロ-ブを用いて、匂い分子受容タンパク質のcDNAの単離を目指す実験を始めた。
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