1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570293
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
竹中 均 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10179658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 稔 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90039529)
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Keywords | 活性酸素 / 過酸化脂質 / 筋小胞体 / Ca能動輸送 / Ca-ATPase / 虚血障害 / 再灌流障害 / デフェロキサミン |
Research Abstract |
ウサギ骨格筋小胞体からショ糖濃度勾配遠心分離により、軽い分画を調整し、そのCa^<2+>能動輸送、Ca^<2+>依存性ATPase活性(Ca-ATPase)、遊離チオ-ル基の数、および過酸化脂質量に及ぼす酸素ラジカルの影響を調べた。酸素ラジカルは、塩化第二鉄(0.1mM)およびADP(1mM)の存在下で、ジヒドロキシフマル酸(3.3mM)の自動酸化により生成させた。過酸化反応開始後、およそ10%の遊離チオ-ル基が急速に減少し、緩徐な減少がそれに続いた。チオ-ル基の二相性の減少と一致して、Ca-ATPase活性Ca^<2+>カルシウム輸送活性ともに初期におよそ50%の減少を示し、いずれについても緩徐な減少がそれに続いた。変性剤存在下での電気泳動により分析した結果、Ca-ATPaseに対応するおよそ100キロダルトンのポリペプチドが過酸化反応の進展にともなって減少し、およそ68キロダルトンのポリペプチドが見かけ上増加した。この分解は自然対数的であり、前述した3つの性質にみられたような二相性はみられなかった。一方、マロンジアルデヒドの生成量から見積った脂質の過酸化は緩やかで、しかも時間と共に直線的に増大した。以上の結果から、筋小胞体を酸素ラジカルで処理すると、システイン残基のチオ-ル基が酸化され、その結果Ca^<2+>の能動輸送が阻害され、さらに酵素分子自身が分解されることが明かとなった。また、酵素活性の消失に脂質の過酸化が大きく影響していないことが示唆された。心臓の虚血・再灌流処理においても、これと同様の反応が進行することを予想させた。なお、ス-パ-オキシドジスムタ-ゼやカタラ-ゼは有効なラジカル消去剤として機能しなかったが、鉄イオンの強力なキレ-タ-であるデフェロキサミンやニトリロ三酢酸は過酸化反応を完全に阻害した。種々のラジカル消去剤の使用とあわせて血液中の過剰鉄イオンを除去することは、心臓の虚血・再灌流障害を抑制するために有効な手段であることが示唆された。
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