1989 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管に於けるカルシウム再吸収の細胞学的機構の解明
Project/Area Number |
01570368
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
塚本 雄介 北里大学, 医学部, 講師 (40146345)
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Keywords | ATP依存性カルシウムポンプ / 近位尿細管 / 遠位尿細管 / 測底細胞膜 / 細胞膜小胞 / 副甲状腺ホルモン / 1.25(OH)_2D_3 / アジニレ-ト シクラ-ゼ |
Research Abstract |
「目的」Ca能動輸送の中心を担っているATP依存性Caポンプを近位尿細管(PT)及び遠位尿細管(DT)の両部位で測定し、PTHによる調節機序を検討することからCa再吸収の細胞学的機構のネフロンの各部位における相違を検討した。「方法」(1)PTとDTの分離採取:Scholerらの方法によりフィコ-ル濃度勾配を用いてPTに富んだfraction(PTRF)とDTに富んだfraction(DTRF)を分離した(Am.J.Physiol.237:F350,1979)。これらを既に発表した方法でパ-コ-ル濃度勾配により細胞分画を分離する(Biochim.Biophys.Acta945:281,1988)。 「結果」(1)フィコ-ル濃度勾配によって8%w/v層にPTに富んだ尿細管(PTRF)が沈降し、1%と2%の中間層にDTに富んだ尿細管(DTRF)が沈降することが顕微鏡下で観察された。これらPTRFとDTRFはPTH感受性adenylate cyclase活性、ADH感受性活性の測定により各々の生理学的特徴を揃えていることが判った。(2)これら尿細管より各々パ-コ-ル勾配法により測底細胞膜(BLM)に富んだ細胞分画の分離に成功した。(3)皮質、PTRF、DTRF各々から得た測底細胞膜小胞(BLMV)のATP依存性^<45>Ca^<2+>取り込みを測定した。その結果各々のVmax(nmole/60"/mg)は6.24、8.3、3.8であり、Caに対する親和性(Km)は各々31.5nM、75.6nM、42.6nMと明らかにDTのCaポンプの方がPTに比し細胞内Caに対してより敏感であることが明らかであった。(4)甲状腺副甲状腺摘出術(TPTX)により、PTRFではVmaxが4.76^+1.37(平均値+SD、n=7)シャムの9.18+2.37,n=5,p<0.005)に比し有意に減少したが、Kmに変化はなかった。一方、DTRFではVmaxはTPTXにより変化しなかったが、Km値がシャムのそれに比し有意に増加した。 「考察」PTとDT各々より分離したCaポンプ活性には酵素学的相違が見られることがはじめて明かとなり、PTHに対する反応性の相違も明かとなった。この違いが、はたしてCaポンプ-ペプチドそのものの違いか、それとも膜特性の違いによるか今後の検討課題である。
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Research Products
(1 results)