1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570585
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安東 醇 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50019915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 一夫 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助手 (50201819)
安東 逸子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助手 (60211017)
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Keywords | Pb-203 / 放射性医薬品 / 悪性腫瘍陽性描画 |
Research Abstract |
〔目的〕Pb-203は半減期52時間でEC崩壊し、安定なTl-203となる。そのさい100崩壊あたり279keV、401keV、680keVのガンマ-線を各々80.8個、3.8個、0.8個の割合で放射する。本研究は塩化鉛(Pb-203)の放射性医薬品への応用、その中でも特に悪性腫瘍陽性描画剤としての可能性を検討するために行った。 〔方法〕吉田肉腫皮下移植ラット、エ-ルリッヒ癌皮下移植マウス及びテレビン油による炎症惹起ラットに塩化鉛(Pb-203)溶液を注射し、経時的に腫瘍組織、炎症巣及び正常臓器組織を摘出し、投与量に対するPb-203の集積率を求めた。これらの結果を同様な方法で既に行ったクエン酸-Ga-67についての結果と比較した。 〔結果〕投与24時間後、吉田肉腫、エ-リッヒ癌への集積率は各々0.89%dose/g、0.59%dose/gであり、この値はGa-67の各々の悪性腫瘍への集積率の1/2〜3/4であった。Pb-203の炎症巣への集積率は非常に小さかった。正常臓器組織へのPb-203の集積率は肝臓、脾臓、肺、小腸などでは非常に小さかった。しかし血液、腎臓、骨への集積率はGa-67のそれよりはるかに大きかった。 〔考察とまとめ〕Pb-203の製造はGa-67より容易であり、放射する主ガンマ-線は279keVであるので核医学用にはGa-67より優れた物理的性質を持っている。Pb-203は悪性腫瘍への集積率はGa-67の集積率の1/2〜3/4と小さく、この点はGa-67より劣っていた。しかしGa-67は炎症巣への集積率が非常に大きいのに対し、Pb-203のそれは非常に小さく、この点で悪性腫瘍描画のためにはPb-203の方が優れていた。正常臓器組織への集積についてはPb-203はGa-67に比較して肝臓、脾臓、肺、小腸などへの集積率は小さく、血液、腎臓、骨への集積率は大きかった。これらの事実から塩化鉛(Pb-203)は腫瘍陽性描画剤として有望と考えられる。
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