1989 Fiscal Year Annual Research Report
骨盤内手術術後患者における男子性機能障害の臨床的検討
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01570879
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑和田 滋 東京大学, 医学部(病)泌尿器科学, 講師 (00126179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 研 虎の門病院, 泌尿器科, 医員
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Keywords | 男子性機能 / 夜間勃起回数 / 夜間勃起持続時間 / 陰茎硬度 / 陰茎周長増加量 / 骨盤内手術術後患者 |
Research Abstract |
20歳代から60歳代の正常日本人男子の性機能を調査した。性機能検査としてはドップラ-血流計、コンピュ-タ-内臓陰茎勃起能測定機(Rigiscan)等を用いて、PBI(Penile Brachial Index陰茎血流量の指標)、夜間勃起回数、勃起持続時間、陰茎硬度、陰茎周長の増加量を測定した。各年代別対象者は7人ないし10人である。PBIは20歳代、30歳代では80%以上であるが、40歳代から低下がみられ60歳代では67%に低下した。夜間勃起回数は4ないし6回で各世代に差はみられなかった。勃起持続時間は20歳代で48分、50、60歳代になると40分前後と低下傾向は有意差は認められなかった。陰茎硬度(10オンス、約300gの硬度を100%とする)は20歳、30歳代は80%以上であるが、年齢とともに低下し、50歳、60歳代では約60%と有意に低下した。陰茎周長の増加量(最大時周長ー最小時周長cm)は20歳〜50歳代は5cm以上であるが、60歳代になると4.2cmと有意に低下した。 骨盤内手術後(膀胱癌、前立腺癌、直腸癌)の患者12名に上記と同様の検査を施行した。PBIは60〜70%と低下。術後夜間勃起能については12名中8名が完全に消失していた。勃起能のみられた4名では、夜間勃起回数2〜4回、勃起持続時間は30〜45分、陰茎硬度平均60%、陰茎周長増加量は平均4.3cmであり、正常者群より低値であった。 以上により、骨盤内手術により、陰茎血流量が低下し、陰部神経等の神経損傷が併発することにより勃起能が著しく低下することが確認された。今後は正常者(コントロ-ル群)を追加すること、手術中の神経血管系の障害を詳しく把握することに重点をおき、次年度の課題としたい。
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