1989 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動パタ-ン形成に関する大脳基底核ならびに視床の役割
Project/Area Number |
01571011
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎本 純男 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30151989)
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Keywords | 皮質咀嚼野 / 咀嚼運動 / パタン発生器 / WGA,HRP / リズム運動 / 結合腕 / 中脳網様体 / 延髄網様体 |
Research Abstract |
モルモットの皮質咀嚼野は、無顆粒皮質である前部および不全顆粒皮質である後部の、細胞構築学的に異なった2つの領域から構成されている。これらの領域の連続電気刺激によって誘発されるリズミカルな顎運動に対応する顎二腹筋筋電図のリズミカルな群発活動は、後部刺激の場合には皮質電気刺激の各パルスに短潜時で誘発される一連の筋電図活動の振幅が増大ついで減少することによって出現するが、前部刺激の場合の群発活動は始めから終わりまで連続して全体として紡錘状を呈し、皮質刺激の各パルスに短潜時で引き続く誘発活動は認められない。そこで、これらの形態学的、生理学的相違と関連させて、皮質咀嚼野前部と後部から脳幹への投射様式でWGA-HRPを用いて比較した。 (1)前部および後部注入例とも、HRP陽性軸索終末が、尾状核、被殻、intertigeminal regionを含む三叉神経運動核周囲ならびに結合腕内、およびその周囲領域に両側性に見出された。 (2)前部注入例では、同側中脳網様体ならびに巨大細胞網様核の尾側レベルの反対側の延髄網様体背外側部に、HRP陽性終末の密な集団が見いだされた。 (3)後部注入例では、HRP陽性終末が橋錐体路の背側に隣接する網様体領域に両側性で同側優位に見いだされた。また、反対側の三叉神経威覚核群の内側に隣接した領域に、橋および延髄吻側部にHRP陽性線維および軸索終末が豊富に見出されたが、延髄尾側部には見られなかった。 (4)視床との連絡は、皮質咀嚼野前方部と内側核群、後方部と外側核群において見られた。以上のように、皮質咀嚼野の前部と後部との間で、視床ならびに脳幹への投射様式に著しい相違があることが明らかにされ、咀嚼運動のパタン発生器と大脳皮質との関連を知る基礎となる所見が得られた。
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